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医療訴訟の怖さと面白さ

2009.09.26 [ 齋藤 健太郎 ]

 私が扱っている医療事件で、最近このようなことがありました。

 10年前の事件で、Aという疾患と診断し、治療されていたところ、お亡くなりになりました。
 私達は、Aという疾患の治療として、問題がある!という構成で訴えを提起し、争っていました。

 しかし、ある専門の医師に相談したところ、AではなくBという疾患ではないかと言われたのです。
 その観点からもう一度記録を精査すると、Bという疾患を基礎づける検査結果が発見されました。
 担当医師は、わざわざBを疑い、検査をし、検査結果が出ているのに、Aであると確定的に診断して治療をしていたのです。

 お医者さんがAと思い込んでいる事案で、それに引きずられてしまったのは否めません。
 また、今まで相談してきた医師に対して、Aという前提で話を聞いていたというのも問題があったのかもしれません。

この訴訟はまだ進行中でこれからというところですが、突然光が刺してきたという状態です。

 医療訴訟では、弁護士が、真実に気がつかずに、ズレた主張をし続けており、結果、勝つべきものが負けているということもあるのが現状ではないかと感じています。医療訴訟をあまり扱っていない弁護士であれば、医師の人脈も少なく、余計にその可能性は高くなると思います。

 私も、根気づよく真実を探るという気持ちを持ち、専門の医師を探し出して積極的に相談するということ、また、主治医の思い込みや、患者(ご遺族)の判断に左右されずに、記録を精査することが重要であると再認識させられました。

酒の恐ろしさ

2009.09.24 [ 齋藤 健太郎 ]

 今は覚せい剤が世間を騒がせておりますが、今日は、実は怖いお酒の話。

 刑事弁護に携わっていると、ほんとに多いのが、酒での暴行・傷害事件、器物損壊事件、公務執行妨害事件です。

 いったん逮捕されてしまうと、そこから検察官送致、勾留、勾留延長、起訴とベルトコンベヤーに乗せられるように自動的に進んでいってしまいます。
 早いタイミングで弁護人を選任できれば、示談等により早期に釈放ということも十分にあり得ますが、それでも数日間から1週間近く身柄を拘束されることは避けられません。普通に働いている人間には大打撃です。
 会社に勤務している多くの方は、お酒の飲み過ぎや悪酔いで逮捕されると、それだけで職を失う危険に晒されることになります。

 明日は我が身と思って酒を飲む日々です。

離婚に踏み切る勇気

2009.09.24 [ 齋藤 健太郎 ]

女性の熟年離婚の相談ではいつも考えさせられてしまいます。

それは、横暴な夫に苦しめられてきた女性がなかなか離婚に踏み切れない状況があるということです。

ギャンブルや女性関係などでやりたい放題にやってきた夫。
お金も使い果たしてしまい、貯金などもさほどない状態。
まだ退職金でもあれば、良いのですが、それもないとなればもうお手上げです。
年金分割制度が始まったとはいえども、離婚後の生活は自力でどうにかするしかないという重い問題があるのです。

中には、何度も離婚を考えた末に、結局踏み切れないという方も多くいらっしゃいます。
今までも悩みと苦しみを抱えて生きてきたせいか、余計に頭を切り替えて新しい生活をイメージすることが難しいのかもしれません。

でも、これから死ぬまでの間、その夫と添い遂げられるのか。それをもう一度真剣に考えるべきです。
一緒に旅行に行けるのか。お墓に一緒に入れるのか。老後を支え合えるのか。
そこに我慢する意味はありますか?
自分の選択で、自分の人生を歩むために、一歩を踏み出すしかないのではないでしょうか。
実は、後で振り返れば悩んでいた自分がばからしく思えるようなことかもしれません。

法律相談の話

2009.09.23 [ 齋藤 健太郎 ]

 私は、ロースクールの授業を受けた一期生です。
 ロースクール自体に、法律相談の授業を北大で受けましたが(ローヤリングクリニック)、その際に、「受容・共感・傾聴」という言葉を覚えました。
 弁護士の仕事は、人の話を聞くことがとても重要です。よく話を聞いて、共感する力というのがとても問われています。それをこの言葉は表現していると思います。そのような共感力がなければ、一生懸命がんばる気持ちにはなれません。
 自分では経験していない苦しみを少しでも理解しようという努力が必要だと思っています。実際には、同じように感じることはできず、「先生にはわからないですよ」と言われると言い返す言葉もありませんが・・・。
 でも、あまり話される方のおっしゃることをそのまま聞き続けていても、時間には限りがありますし、かえって重要なことを聞き逃すこともあります。そのバランスがとても難しいです。ある程度は話をリードしつつも、共感を示せる弁護士を目指したいと思っています。

 弁護士の話の聞き方で、出てくる事実は全く違います。
 相談される方は、法律的に重要な事実を理解して話す訳ではないからです。よく、「なんでそんな大事なことを最初からいってくれなかったの?」という場面に遭遇します。自分の力不足を最も感じる瞬間です。

  「サルでもできる弁護士業」という本で、弁護士が聞き取りに時間をかけ過ぎだということや、弁護士資格のない人が事前に聞き取りをすべきだと言う話がなさ れていたと思いますが、そんな方法では、相談者に共感することも重要な事実を聞き出すことも出来ないのではないかと思います。業務の効率化では片付けられ ない側面が弁護士業務にはあるのではないでしょうか。

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