トップページ > 弁護士BLOG > 2014年9月

弁護士BLOG

消滅時効

2014.09.13 [ 神村 岡 ]

民法には,消滅時効というルールがあります。

これは,お金を請求することのできる権利(債権)は,請求が可能になったときから一定期間請求しなかった場合は,請求することができなくなってしまうというものです。

なぜこのようなルールがあるかというと,権利の行使がいつまでも許されるとすると,債務者がいつまでも不安定な状態におかれる上に,長期間の経過によって証拠がなくなってしまうことが多いというようなことが理由です。

消滅時効が成立するための期間は,基本的には10年間ですが,債権の種類によってより短い期間で消滅時効が成立することになっています。

例えば,不法行為による損害賠償請求権は3年間,労働者(ごく短期の契約の場合は除く)の給与請求権は2年間,旅館や飲食店の代金は1年間といった具合です。

このように,短期間で成立する消滅時効に関しては種類毎に細かく期間定められていたのですが,これが民法の債権法分野の改正により5年に統一される見込みとなりました。

かなりすっきりしますね。

そういえば,これまで残業代の請求は上記のとおり2年間の消滅時効にかかっていたのですが,これが5年間まで延長されると,かなりインパクトは大きいです。

残業代をしっかり支払っていない会社は,5年分の残業代を一度に請求されることになり,場合によっては相当な金額になります。このような可能性を考えると,使用者にとっては,普段から残業代をしっかり計算して支給するのはリスク管理としてとても重要だと思います。

遠隔地での家事調停が電話でできるようになった。

2014.09.09 [ 小西 政広 ]

平成25年1月1日施行の家事事件手続法によってです。通常の訴訟は,以前から一定の条件のもと,電話による出頭が認められていました。

家事事件手続法54条1項
「家庭裁判所は,当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは,当事者の意見を聴いて,最高裁判所規則で定めるところにより,家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって,家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。」

この条文により,どうしても遠隔地の裁判所に申立をしなければならない調停については,事務所にいながら電話によって出席することができるようになりました。

知識としてはありましたが,この度,これを使わなかれば弁護士費用が多額になりすぎてしまう事件の依頼を受け,該当する裁判所に確認したところ,まだ運用実績はないものの,電話での調停を認める可能性は高い,との回答を得ました。

家事調停は,原則として相手方の居住する土地を管轄する家庭裁判所に申立をしなければなりませんが,電話による調停ができなければ,毎回遠隔地に赴かなければならず,それだけで申立を諦めざるを得ないケースはこれまで多々あったと思います。

裁判所に行く労力だけで一方当事者のみに過大な負担がかかり,訴えを諦めなければならないとすれば,それは致命的な欠陥です。

家庭裁判所がより利用しやすくなりました。

クアッドコア!買っちゃいました・・・。

2014.09.08 [ 齋藤 健太郎 ]

そんなことしていないで仕事してください!という声が方々から聞こえてきそうですが,衝動買いしてしまいました・・・。

IMG_3010.jpg

男のロマンです。
こんなドキドキしたの久しぶりかも。
私が子供の頃にはこんな値段(1万以下)で,空飛ぶラジコンが手に入るなんてことはなかったはずです。

稚拙な技術のため,全くコントロールできていませんが,1週間もすればどうにかなるでしょう。

あ,ちなみに,これは業務上の必要性から購入したものであって,決して趣味とかホビーとか娯楽とかではありません。
カメラもついているので,上空からの動画撮影など,証拠収集に不可欠なものです・・・。
たぶん・・・。

職務発明

2014.09.06 [ 神村 岡 ]

職務発明とは,会社の従業員が会社の業務として何らかの発明をすることを意味します。

このような場合,今の特許法では,基本的には特許権者はその発明をした従業員で,会社がその発明に対する相当な対価を従業員に支払った場合にのみ会社が特許権を得ることができます。この相当な対価がいくらなのかということに関しては,数多くの裁判例が存在します。

ところで,この職務発明の制度が根本的に変わってしまうかもしれません。


つい先日,政府は,職務発明を無条件で会社のものとする方針を示しました。これまでのルールから180度方針転換することになります。

これは,従業員に低くはない対価を支払わなければいけない現状に異を唱えた経済界の意向をくんだものですが,一方で従業員の発明に対するモチベーションが下がりますし,優秀な研究者が海外に流出してしまう自体にもなり得ます。

結局は国としての競争力の低下につながる可能性が高いように思いますので,私は反対です。



筋トレ続報

2014.09.03 [ 小西 政広 ]

最近若干怠けてました。

やや体調が悪い。ことにしたり。

やや疲れやすい。ことにしたりで。

週1回のペースは守っていたのですが,あまり追い込まない感じの内容にしてもらっていました。


そして,先日10日間も空けてしまいました。

すると1.5㎏増の69㎏に!

お腹も出てきたような気がしていましたが,実際出ていたんですね。


来年間に合うかな。。。なんて。

東京で医師の証人尋問をしてきました。

2014.09.02 [ 齋藤 健太郎 ]

先週,東京地裁で,所在尋問というものをしてきました。

本来,札幌地方裁判所の事件なので,札幌地裁で証人尋問を行います。でも,意見書を書いた医師(こちらの先生一人,相手の先生一人)がいずれも東京の方のために,裁判官(3人のうち2人)と代理人弁護士が一緒に東京まで行って,東京地裁を借りて証人尋問を行いました。

お医者さんのように多忙な方の場合には,わざわざ札幌地裁まで来てもらうということになると証人として立てないということもあります。裁判官も同様に多忙なのですが,事件のために必要ということであれば,わざわざその場所まで赴いて証人尋問を行ってくれるのです。

今回は2日にわたって行なったので東京に3日いることになりました。いつもであればこれを機に大学時代の友人と会ったりするのですが,やはり証人尋問前は準備がありますし,私は証人尋問前は酒を飲まないと決めているので会うのはやめました。
残念!!

学者と弁護士

2014.09.02 [ 齋藤 健太郎 ]

法律の分野では,法律学の先生という方々がおられます。
我々も,司法試験を合格するために勉強をしていた時代には,この学者の先生方の書いた書籍を読んだり,学者の先生から教わってきました。

しかし,学者と弁護士とは大きく違います。
学者は相手との交渉スキルとか不要です。
反対尋問もうまくなりません。
裁判官の腹を探りながら和解を進める経験も積めません。
事実を聴き取って事件を作り上げるということもありません。
事実関係の調査ということもほぼ不要です。
あげればキリがありませんが,全くの別物といってもいいと思います。

それをとてもわかりやすく説明しているものを見つけました。
加藤雅信先生という大先生が,突然弁護士になって,しかも一人で事件をこなすということをされた際のことを書かれたものです。この方の説が最高裁判例に受け入れられたという噂があるようなないようなすごい方です。
でも,突っ込みどころ満載です。

【ポイント】
1 若い弁護士を使わなくても事件が一人でできると思った理由は,訴状を作成する過程を目にしたことが何度もあるから
→ 訴状作るところで事件はスタートです。それからが大変だと思うのですが。
2 社長とともに東京地裁に訴状を提出に行った。
→ 普通一緒にいきません。というか弁護士が行きません。若い弁護士使わせなくてもいいので,事務員さんは使わせてあげては?
3 裁判所から連絡先を事務所にするか大学にするか聞かれる
→ 裁判所がそんなこと聞いてくれるのですか・・・?扱いが違い過ぎます。事務所に所属しているので事務所でいいに決まっています。
4 期日請書ってなんですか?
→ 知らなくて当然だと思いますが,できれば事務員さんに聞いて下さい。素直すぎます。
5 「先生のような方には「民訴94条2項の書面」と申し上げるべきところを「期日請書」と申しあげ,大変失礼しました」
→ 絶対謝るのおかしいでしょう。そんな条文言われてもむしろわからないです。相手の心配りに感謝されていますが,これって嫌みですよね。
6 「この次も、求釈明に対する釈明がないようであれば、私は、その後の準備書面には、『当方が「虚」であると主張したのに対し、求釈明に対する釈明が依然なされていない。これは、主張事実が「虚」であるためと思われる』と書きますので、そのおつもりで。」その途端、室の空気は凍りつき、傍聴していた司法修習生たちは、身を固くした。」
→ これは,意訳すると「こちらはあなたはウソをついているといっているのに聞いてることに何も答えない。答えないのはウソだからだと今後は書きますよ!」と言ったということですね。それは凍り付きます。民事訴訟で相手を嘘つきということに何の意味もないからです。大抵はどちらかが嘘つきで,どちらがウソをついているかがテーマですから。
7 嘘つきなので不当訴訟として損害賠償請求 最高裁判例になれば民事訴訟が浄化
→ これが最高裁判例になるはずがない・・・いやいやわかりませんが。でも,結局は負けた方が損害賠償責任を負うということになるだけで,浄化にはなりません。もしかしたら民事訴訟がなくなり,弁護士が浄化されるというか成仏するかもしれません。

というわけで色々面白く読ませて頂きました。
無事勝訴なされたことは素晴らしいと思います。
あ,不当訴訟の印紙代はちょっともったいなかったかな・・・。

Cマークってなんですか

2014.09.02 [ 齋藤 健太郎 ]

よく,ウェブサイトの最下部に
「Copyright © 2014 honyarara All rights reserved」
という記載をみますね。

なんとなく感覚的には,コレを記載してあることで,何かすごい権利が発生していて,法律的にも表示が求められているかのように感じます。

しかし,実はこれってほとんど意味ありません。
Cマークなんて呼ばれるものですが,これは日本国内の著作権については全くの無意味で,付けたところで保護されるとか逆につけないと保護されないということはありません。
日本の著作権は何も表示や登録をしなくても成立が認められるからです。

なんとなく格好いいからつけているというレベルを超えないというものです。
本当は,万国著作権条約というものがあって,それに加盟している国のうち,日本のように著作権が直ちに成立しないような国であっても,このマークをつけて表示していると保護されるよ・・・という意味があるのですが,それも実務的にはほとんど意味がないと思われます。

実は,ニュースで「ハイスコアガール」というスクウェア・エニックスというところで出している漫画が著作権違反で,刑事事件となり,捜索までされたという話を読んだのですが,その際に,「このCマークが末尾に表示されているから承諾を得ているとみんなが思った」なんて解説があったので,「?」と思ったわけです。
このマークは著作権を主張したい人が自分でつけるものに過ぎないので,誰かがこれをつけても許諾を取ったことの証明にはならないものです。全くの勘違いというか,大きな誤解としかいえませんが,業界の慣行というようなものがあったのかもしれません。
ちなみにその解説している人が,Cマークがつけられていると,侵害した人が著作権があることを知っているとみなされるので保護されやすいというようなことを書いていましたが,正直,そういう効果もないと思います・・・。

それにしても,公刊されている漫画が,著作権法違反で捜索・差押まで受けるというのは前代未聞ではないでしょうか。
たしかに,ゲームを論評するという形での作風であれば,「引用」として著作権法違反にならない可能性はあるのですが,それでも念のために許諾を取るというのがリスク管理としては当然に求められるところかと思います。
きわどい話であるという認識をもって,顧問弁護士と相談しながら進めていればこんなことにはならなかったのではないでしょうか。

<  | 1 | 2 | 

ページ上部へ