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面会拒否と親権変更

2015.02.28 [ 神村 岡 ]

離婚後に,離れて暮らす子どもと面会することを面会交流といいます。

面会交流は,離れて暮らす親にとって重要であるのと同時に,子どもにとっては実の親と会う大切な機会でもあります。

そのため,離婚に当たっては,離れて暮らす親が子どもと会うのが適当でないような事情がない限り,面会交流についても話し合うべきですし,親権を得て子どもと一緒に暮らす親は,離れて暮らす親が子どもに会うのにできる限り協力すべきでしょう。

ところが,他方の親に子どもとの面会交流をさせるという前提で親権を得た親が,離婚後は面会に非協力的になったり,拒否したりするケースも多いのが実情です。

中には,子どもに「会いたくない」と言わせたりして面会交流を拒否しようとする残念なケースもあります。

先日,福岡家庭裁判所で,正当な理由がないのに面会交流を拒否したことを理由として,親権を他方の親に変更する決定が出ました。

面会拒否を理由に親権を変更するという判断はこれまでにはあまりなかった判断です。

あくまで親権の変更であって,監護権はこれまで親権をもっていた方の親に残りますので,子どもと一緒に住む親が変わるわけではありませんが,親権が移ることによって,離れて暮らす親の関与が強まることになります。

このような決定が一般的になれば,面会交流を不当に拒否するケースは一定程度抑えられるでしょう。

公正証書の機能について

2015.02.25 [ 小西 政広 ]

例えば離婚の際の約束事について,公正証書に残したい,という相談を受けることがよくあります。

しかし,よくよく話を聞いてみると,「公正証書に残さないと法律的に無効な文書となる」という誤解に基づいて話されている方がいらっしゃいます。

公正証書を作成すると,例えば「○○円を支払う」という約束事があった際に,その書き方を工夫することによって,裁判をせずに,いきなり相手の財産を差し押さえることができる効果があります。差押えの手続は,裁判所を通さないと出来ませんが。

公正証書は,その文書が法律的に有効か無効かを分けるというものではありません。

逆に言うと,公正証書でなければ無効なんだという誤解があると,公正証書でないからといって,気軽に公正証書でない文書にサインしてしまい,後からその合意を覆すことが難しくなる,という事態も考えられます。

ただ,公正証書を作成すると,きちんと本人確認をした上で合意書などが作成されますので,後から,「自分はそんな文書作っていない」などといわれることを未然に防止するという効果はあります。

また,遺言については,公正証書でなくてもすることができますが,作成した本人が亡くなった際に,遺言の存在を調べることができず,結局遺産分割に反映されないと言う事態も考えられるので,一般的には公正証書遺言を作成した方がよいでしょう。

公正証書の作成についても公証人に支払う手数料がかかりますので,その機能についてきちんと知った上で選択をしていくべきです。


札幌は碁盤の目だけど

2015.02.23 [ 齋藤 健太郎 ]

本州で車に乗るといつも思うことがあります。
なにしろ道が狭い。道がわかりにくい。道が斜め。
これが国道?みたいな道もよくあります。

札幌にいると道が広いですし,大体住所を聞くだけで,知らないところでもイメージが沸きます。
あまり考えなくても道に迷いませんね。

でも,私が苦手とするところがいくつかあります。
特に,桑園の付近は非常にわかりにくい。碁盤の目ではあるのですが,斜めに碁盤の目が入っているので,違う場所から来ると突然わからなくなるときがあります。
最近ではナビがあるからいいですが,昔は本当にわけがわからなくなることがありました。

そういえば最近ドライブレコーダーをつけました。
自分に過失全くないのに人を轢いてしまうなんてこともないわけではありません。
そのときに自分に過失がないことを立証するのは本当に大変です。
青信号で走行していたということを証明することすら以外に難しいものです。突然人が出てきたとしても,それが直前なのかどうかも簡単には証明できません。
運良く証人がいればいいですが,いなければとても悔しい思いをすることもあります。
そういう意味では,ドライブレコーダーは自分の身を守るために不可欠だと思ってつけてみました。
最近では,ドライブレコーダーを付けているタクシーも増えてきたように思います。

でも一つ問題が・・・。
ドライブレコーダーがあまり普及すると,過失での争いがほとんどなくなって弁護士の出番がなくなるかも・・・。
まあ,それはそれで世の中が良くなっているのだから良いとしますか。

つまらなくてすみません。でもありがとう。

2015.02.23 [ 齋藤 健太郎 ]

このブログも多数の方々から会う度に「つまらないね。面白くないね」といわれて久しいのですが,つまらないということを言ってくれる人達は,ブログを見てくれているということです。
特に「相変わらずつまらないね」なんて言われた日には,感謝に堪えません。つまらないにもかかわらず継続して読んでいるとすればこれはまさに苦行です。

私の成長に期待しているということなのでしょう。
今後,少しでも役に立つ面白いことを提供したいと思います。
ローマは1日にしてならず。石の上にも3年。
ブログはマラソンと一緒です。

さて,私,齋藤健太郎は,友人からけしかけれたことから,
「北海道マラソン」にフルマラソンで出場することを決定いたしました!

目標タイムは4時間15分。
マラソン未経験であり,長距離が苦手であり,若干メタボであり,足腰が弱いというハンディキャップを乗り越えて,結果を出せるのでしょうか。

苦行に耐えてブログを読んでくれている方々に負けずに私も頑張ります。
うっかりエントリーを忘れないことを祈っていてください。

覚せい剤とダルクと条件反射制御法

2015.02.21 [ 齋藤 健太郎 ]

覚せい剤の依存症になってしまった場合に,自分の意思だけでやめられると思っていますか?
そんな簡単じゃないことは今まで繰り返してきた人々を見ればよくわかると思います。

特に芸能人の方々が,覚せい剤をなかなかやめられないのはよく目にするところです。
最近でいえば,小向美奈子さんが覚せい剤で3回目の逮捕をされていました。
2回目は嫌疑不十分で不起訴となっていたようですが・・・。
また,田代まさしさんが最近出所してきたというニュースも見ました。この方もコカインを止められずに二度目の逮捕で実刑になったものと記憶しています。

弁護士として国選の刑事事件を担当していると,必ず覚せい剤事件をやります。
10回目などという人も結構いて,どうしたらこの人は再び覚せい剤に手を出さずに済むのだろうかと考えてしまいます。
皆さん,「もう止めます。絶対誓います」というのですが,前の裁判でも同じ事を言っているので,誰も信じません。
家族も最初は支えていくのですが,次第に呆れてしまい,諦めてしまいます。

でも,それでいいのか?という疑問を常に持っていました。
というのも,一度手を出してしまったのはその人の責任だとしても,止めたくても止められなくなったことまで全て責任を問えるのでしょうか。
精神障害の国際的な分類でも,覚せい剤依存や薬物依存は精神障害とされています。
この問題は,覚せい剤だけでなく,アルコールを含む薬物全般に言えることです。問題の本質という意味では,ギャンブル依存も全く同じでしょう。

では,どうすれば克服できるのでしょう?
昔から依存症克服のための自助組織というものがあります。
ダルクという組織があり,各地に住居などがあります。そこで仲間と一緒にミーティングをしながら生活をして,乗り越えていくというものです。
田代まさしさんもそこに通っているようです。
長期間継続することが大切だと思いますが,一定の効果がある方法とされています。

また,覚せい剤を含む依存症を克服するための治療として条件反射制御法というものがあります。
私も研修を受けたことがありますが,非常に有用な方法ではないかと感じました。
ASKAさんもこの条件反射制御法による治療を受けているという報道がありました。

中にはいまだに根性論を強く訴える人達がいるようですが,どうでしょうか・・・?
まずは,覚せい剤依存というものに対して,刑事処罰を中心に考えるのではなくて,リハビリ施設や治療を行うことをメインに据えるべきだと思います。刑務所に入れることが抑止力にならないことは明らかです。
被害者がいる犯罪とは違うのですから,本人のために,社会のために何が一番いいのかを真剣に考える時期に来ていると思います。

業務上過失致死傷罪

2015.02.20 [ 神村 岡 ]

企業の活動には様々なリスクが伴います。

企業活動によって人に怪我をさせてしまった場合,あるいは死亡させてしまった場合には,民事上の損害賠償責任が発生する場合があるほか,業務上過失致死傷罪(刑法211条)にも該当し,代表者や従業員が刑事責任を問われることがあります。

業務上過失致死傷罪は,業務上必要な注意を怠って,人を死傷させた場合に成立します。

法定刑は,5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金です。

「業務上」が付かない単純な過失致死罪は50万円以下の罰金,過失致傷罪は30万円以下の罰金又は科料ですから,「業務上」が付くことでかなり刑が加重されているといえます。

以前は,自動車を運転して人を死傷させてしまった場合も業務上過失致死傷罪の対象になっていましたが,2007年の改正以降は自動車運転過失致死傷罪が新設され,自動車事故の場合はそちらが適用されることとなっています。

なお,業務上過失致死傷罪は,代表者や従業員に適用されるもので,会社が処罰の対象となることはありません。

渋谷の温泉施設で起きたガス爆発事故や,JR福知山線の脱線事故でも,刑事責任を問われたのは役員などであって,法人ではありません。

会社の活動によって人を死傷させた場合に会社が責任を負わないのはおかしいという意見もあるかと思いますが,刑法は個人のみを刑事責任の対象にしています。

他方,従業員が過失で人を死傷させてしまって損害賠償責任を負う場合,民法715条の使用者責任により,会社も民事上の損害賠償責任を負います。
従業員が損害賠償責任を負う場合でも,会社が注意を怠っていなければ責任を負わないという例外規定はありますが,その例外規定が適用されるハードルはかなり高く,ほとんど適用されることはありません。

看板落下事故

2015.02.18 [ 神村 岡 ]

先日,札幌駅にほど近い繁華街で,看板が落下して通行人の女性に当たり,大けがを負わせてしまうという事故が発生しました。女性はまだ意識不明の重体とのことです。


看板は85年に設置されたもので,設置以来,目視による点検しかしていなかったようです。

この看板は,建築基準法上,年に1回,目視か打音などで以上の有無を確認することが義務づけられていました。看板を設置していた店は,業者に依頼して目視による点検を行っていたということですから,建築基準法の安全確認の規定には違反していなかったということにはなるのかもしれません(地上から15メートル上の看板を本当にちゃんと目視できたのか,検査になっていたのかという点は気になります)。

しかし,看板を設置・管理していた業者は,建築基準法上の規制とは別に,民法717条により,その看板が落下するなどして他人に危害を与えたことについて賠償責任を負います。建築基準法上の規制に従っていたから良いというものではないのです。

もっとも,十分な注意を払っていたにもかかわらず事故が起こってしまったのであれば,賃借人などその看板を単に管理していただけである者は責任を免れる場合がありますが,その場合はその看板の所有者が賠償責任を負うことになります。

では,看板を保守点検する業者に対して,高所での打音による確認なども行うことができる十分な費用を支払っていて,その業者がしっかり仕事をしていれば事故が防げたという場合はどうでしょうか。

この場合でも,看板の所有者が被害者に対する責任を免れることはありませんが,保守点検を委託していた業者に対して求償(自分が賠償した分について支払を求めること)することができる可能性があります。


今回の事故は,おそらく経年劣化によるものでしょう。
このような事故が発生してしまう前に何とかならなかったのかと思えてなりません。

医療訴訟が弁護士にとってハードルが高い訴訟であることを示す懲戒処分の事例

2015.02.18 [ 小西 政広 ]

弁護士の懲戒処分が公告されていました。

①被懲戒者(弁護士)は,懲戒請求者らから医療過誤事件に精通した他の弁護士の紹介を求められ,また,共同受任するように求められたところ,自ら事件を遅滞なく処理できる状態になく,他の担当の勤務弁護士にも医療過誤事件の患者側弁護士に期待される善管注意義務を尽くして遅滞なく適切に事件処理できるだけの時間と経験がなかったにもかかわらず,医療過誤事件に精通し,又は医療過誤事件に相当程度経験のある弁護士を懲戒請求者らに紹介し,当該弁護士と共同受任するよう努力しなかった。

②訴え提起前に専門家医師等から意見聴取をしなかった。

③被懲戒者は,訴え提起前になすべき活動をしないまま訴えを提起したことにより,第1回弁論準備手続期日から辞任に至るまでの約8ヶ月,認否及び反論を準備できなかった。

他にも懲戒の理由となる事情はあり,それら全てを包括的に評価すると,弁護士としての品位を失うべき非行に該当する,として,戒告処分がなされていました。

「他の弁護士を紹介しなかったこと」や,「専門家医師等に意見を聞かずに訴訟提起したこと」が,懲戒の理由の一つとなるケースは極めて稀でしょう。「8ヶ月間認否反論しなかった」というのも,他の訴訟を比較に挙げれば普通ではない事態です。
医療訴訟が,弁護士業務の中でも特に専門性が求められるものであるということを再認識させられた事例でした。

カラス戦争

2015.02.17 [ 齋藤 健太郎 ]

20××年,人間はついにカラスに支配されるに至った。
家の前の電線にはカラスが横一列に並び,家を出ようとするとそこをめがけてフンを落としてくる。
家の前はカラスのフンですっかり汚れてしまい,うかつに歩くことすらできない。
これには,まさにフン慨するしかない。

そこに救世主が現れた。
意外にもあの値上げバクダンで地球を恐怖に陥れた北海道電力団だ。
なんと電線に針のようなものを張ってカラスを撃退してくれるという。
仕方がないので世話になることにしたところ,なんという絶大な効果。
クローの甲斐あって人間はついにカラスに勝利したのであった。

という実話でした。

B型肝炎訴訟

2015.02.16 [ 小西 政広 ]

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou/b-kanen/dl/b-kanen_tebiki-zentai.pdf
↑解決の手引き


たまたま相談を受け,訴訟提起に至りましたので,それまでに色々と調べてみました。

対象となる方は,まだまだ多いようですね。

調べていく中で,私の生まれた昭和57年も,注射針は使い切りですが,まだ注射筒の使い回しはしていたということなので,一応内科で調べてもらいました。

国は,必要資料が揃った上での訴訟提起があれば,すぐにあらかじめ定めた和解金を支払うということとなっていますが,訴訟提起をするといっても,一般の方からすると,馴染みのない資料の収集がそれほど容易ではありません。
また,「訴訟を提起して和解をしてください」と国は広報するわりに,訴状のひな形が全然見つかりません。国家賠償訴訟という若干特殊な訴訟を提起しなければならないので,さらに一般の方にはわかりづらいと思いますが・・・

昭和63年1月27日までに集団予防接種を受けた可能性がある方,そして母子感染の可能性がある方(ここまで含めると,ほとんどの人が該当しそうです。)は,一度検査してみるとよいでしょう。

私の父にもそれとなく検査を勧めましたが,「感染してないと思う」といわれて一蹴されました。健康診断も受けていたし,問題ないのでしょうか。




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