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忘却曲線

2016.06.29 [ 小西 政広 ]

たまに受験の頃を思い出したりします。

私は司法試験の受験に関しては,試験科目の条文と判例百選は全て暗記すべきと考えて勉強していました。

出発点となる基礎知識が頭に入っていないと,そこからの思考に至らないと考えたためです。

全部覚えるというといかにも大変そうですが,短期記憶を長期記憶に変える作業を定期的に行うことで,なんとか記憶しました。

覚えたての知識はすごく早く忘れてしまうが,少し忘れた位の時にもう一度記憶喚起させる,また少し忘れた頃にもう一度,という形で,徐々に記憶喚起までの期間を延ばしていきました。

具体的には,初めて読んだときには,その翌日にすぐ同じものを読んで記憶喚起します。その一週間後にまた読みます。その1ヶ月後にまた読みます。その後は1ヶ月に1回を試験まで繰り返します。最初に読んだときに1日かかっていたものは,最終的には,2時間程度でおさらいできるようになりました。

そんな風にたたき込んだ知識も,使わなければ忘れていくんだなあと,改めて最近感じています。。。

2016.06.28 [ 齋藤 健太郎 ]

男の上半身裸はエロいのでしょうか。
下品なのでしょうか。
男のブリーフ姿はエロいのでしょうか。
下品なのでしょうか。

法曹界ではちょっとした有名人のブリーフの岡口基一裁判官がとうとう全国ニュースになりました。
ツイッターに縄で縛られた男性の半裸写真を載せたとかで厳重注意されたとのこと

実はこの厳重注意されたことは本人が告知していたので前から知っていました。
問題はわざわざ裁判所がマスコミにこのことを情報提供したってことでしょうね。
しかもいかにもひどい写真を載せたという印象を与えるような表現で。
世の中が問題にしていないようなことを組織が厳重注意し、さらにはマスコミに流して全国に知れ渡ることに。
もしそんなに裁判所にとってマイナスのことならあえて公表しなきゃいいのにと思います。

もっと自由でいいと思うんですがね。

ライプニッツ係数の不正義

2016.06.27 [ 齋藤 健太郎 ]

お金というのは,どんどん増えて当たり前という考えから,交通事故や医療事故で,将来の失われた利益分を先にもらう場合には,一度にもらう場合にかなり減額されてしまいます。

たとえば,
100万円の収入で,10年間稼ぐことができるはずだった場合にそれが事故によって全くもらえなくなったとします。
そのときには,本来は
100万円×10年=1000万円が失われた利益のはずです。

しかし,ライプニッツ係数という魔術を使うと
一度にもらえるんだから772万1700円で我慢しなさいとされてしまいます。

これが20年の場合には,本来2000万円ですが,
一度にもらう場合には,1246万2200円まで減らされてしまいます。

さらに30年の場合には,本来3000万円ですが,
一度にもらう場合には,1537万2500円に減らされてしまいます。

少し飛んで50年の場合には,本来5000万円ですが,
一度にもらう場合には,1825万5900円となってしまいます!!!!!

10年とか20年多く働けなくても,大きな差は出ないことになってしまいます。

これだけでもものすごい驚きですが,実はもっとおかしな話があります。

0歳で事故に遭った場合には,67歳まで働くことができることを前提にして計算されるのですが,18歳までは働けないということも考慮されます。
その結果,仮に年収100万円の計算でやると(本当は平均収入でやるので男536万,女480万くらいとなりますが),本来は49年間働けることになるので,4900万円です。
しかし,一度にもらう場合には,
100万円×(19.2391−11.6896)
となるので,754万9500円にしかなりません・・・。

一応,ホフマン係数という別の方法もあって,その方が有利なのですが,ライプニッツでやる場合がほとんどです。

現実にはそんなに簡単にお金を増やせるはずがありません。
現実と大きくずれているのになぜ裁判実務は改められないのか。これは不正義ではないのでしょうか。
明らかにおかしいことがまかり通っていると思っているのは,私だけではないはずです。
それに慣れすぎて,疑問も感じなくなることが一番恐ろしいことです。

ルンバ

2016.06.26 [ 齋藤 健太郎 ]

人間の仕事がAIに乗っ取られるかもしれないという話を最近よく聞きますが,とうとう我が家にもロボットがやってきました。
例のまるっこくて可愛い奴です。
ボタンを押すだけでおそうじをして,終わったらホームに戻ってくれるという優れものです。

しかし,なにせ障害物に弱い・・・。
ダイニングテーブルの椅子の間にうまく入らない場合があったり,ちょっとしたものに引っ掛かったり・・・。
まあ,動きはペットみたいで可愛いので,なんとなく許してしまいますが。

同時に,自分の仕事はまだこいつらには乗っ取られないな・・・なんて安心したりします。
関係する判例を調べたりとか,関係ありそうな法律を調べたりとか,慰謝料の額や量刑を提示したりというのは,AIは大いに活躍すると思いますが,人から重要な話を聞き取ったり,それを個別の事案に即して整理したり,裁判官を説得するために工夫したり,証人尋問で臨機応変に対応したり・・・なんていうことはAIではやはり無理なのではないでしょうか。
将棋や囲碁などのゲームはルールが明確ですが,我々の仕事はそうはいきません。
何より,人の痛みに共感することができないというのは,致命的だとは思います。

でも,決して逆らわない可愛い部下としては是非とも欲しいかな・・・。

英国の離脱

2016.06.25 [ 神村 岡 ]

英国で行われたEUからの離脱の是非を問う国民投票で,離脱派が勝利しました。

今後は離脱に向けた手続が粛々と進められていくことになるのでしょう。

他方で,他の国々と新たな経済関係を構築するための交渉は,かなり大変なものになるのではないでしょうか。
これまで同じEUの加盟国としてEUの枠組みの中で取引していた欧州各国とだけでなく,EUとの経済協定を結んでいたEU外の数多くの国々とも,新たにルール作りのための交渉をしなければなりません。
EUと決別した英国の決断を好ましく思わない国はEU各国だけではないでしょうから,交渉が難航することは想像に難くありません。

また,残留が多数派を占めていたスコットランドや北アイルランドでは,分離に向けた動きが加速するのではないかと言われています。
少なくとも,スコットランドではまた独立を問う国民投票が開催されるのでしょう。

それにしても,ついに国民投票で勝利した離脱派の原動力はどこにあるのでしょうか。
よほどEUに所属していることで割をくっているという意識が強かったのか,あるいは移民の流入をどうしても止めたかったのか。

離脱派の主張を詳しく調べたわけではないので,よくわかりませんが,グレートブリテン的な意識から来るものが何かあるのでしょうか。

個人的には,今は勝利に歓喜している離脱派の多くが,近い将来にとても後悔することになるのではないかと思えてなりません。

街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者

2016.06.22 [ 小西 政広 ]

軽犯罪法第1条26号です。

違反すると拘留または科料の刑が科されます。

道路でたんつばを吐く行為を見るのは本当に不快です。後ろを歩く人がたんつばを吐く音を聞くのもまた最悪です。

そして今朝何故か,たんつぼを持ち歩く夢を見たような気がします。

頻繁にたんつばを吐きたい人は携帯用たんつぼを持つべきですね。

あ,ティッシュでいいのか。

認知症と投資被害

2016.06.20 [ 齋藤 健太郎 ]

数日前に,みずほ証券が,認知症の高齢者にリスクの高い投資商品を購入させたのは違法だとして,3038万円の損害賠償請求が認められるという判決がありました。

認知症高齢者と消費者被害というのは切っても切れない関係にあります。
一般的な勧誘行為というのは,不安や恐怖を煽ったり,メリットを過度に強調したり,ときには十分な説明をしなかったりすることもありますが,認知症高齢者にはそれに抗って適切な判断をすることは期待できません。

一方で,認知症であるというだけで,日常生活が送れないかというとそうでもないことに注意が必要です。人間は,これまでやってきたことというのは,意外と問題なくできるものです。新しいこと,イレギュラーなこと,少しでも複雑なことになると一気に問題が顕在化しますが,それ以外では問題ないように振る舞うということもできるからです。
突然,思い出しましたが,たしか「ナオミとカナコ」とかいう恐ろしいドラマで(妻がDV夫を友人と一緒に絞め殺してました。やめてください),銀行員が認知症高齢者を欺すというシーンがありましたが,その高齢者は,一人暮らしなのに,家の中は完全に片付いていて,化粧もばっちり,服装も身ぎれいな状態でした。いくら日常生活は問題なく送れるといっても,さすがにこれは現実感ないなあと思ったのを思い出します。

何が言いたいかというと,ある程度疑いの目を持ってみれば,高齢者に認知症が進行しているかどうかは,ある程度判断が可能であるということです。
一番,気がつかないのは身近な家族ですが,銀行員や証券会社の社員などは,様々な方策によって,認知状態が低下していることについて確認し得るはずです。

この判決では,損害賠償請求を認めましたが,実際には,認知症だとは思わなかったという反論や普通に対応していたなどという反論が考えられるため,証券会社側は十分に戦えるという判断になり得ます。
しかし,高リスク商品の売却を高齢者に勧めること自体が危険を孕んでいるのですから,たとえば,一定の年齢以上の場合には,長谷川式という認知症を簡易に診断できる検査を受けてもらうなど,認知症の有無をスクリーニングすることまで求めても良いのではないでしょうか。
投資は自己責任というのは当然ですが,高リスク商品については,高齢者が犠牲にならぬよう,より実効的な規制が必要ではないかと考えます。

証拠開示について

2016.06.20 [ 齋藤 健太郎 ]

裁判では,証拠で全てが決まります。

とはいえ,証拠といっても,今,手元にあるものだけとは限りません。
中には,発見する証拠,生み出す証拠(偽造するということではありませんよ)というものもあります。
弁護士の善し悪しというのはそこで大きく変わってきます。

四六時中,事件でどうやったら勝てるかを考えていると、時折良いアイデアをひらめくことがあります。
逆に,それぐらい考え続けていないと駄目ということなのでしょう。

日本の裁判では,証人から話を直接聞けるのは,実際に証人尋問の期日を迎えてからです。
それまでは,弁護士が主に作成した「陳述書」なるものによって何を言うのかを推し量るほかありません。
ほとんどの場合は陳述書と同じことをいいますが,中には,陳述書とは全く違うことを話したり,陳述書にない重要なことをハ話す場合もあります(証人が悪いのか・・・弁護士が悪いのか・・・)。
また,裁判を起こす方の中には,被告が何というのか知りたいと考える方もいます。
しかし,その場合でも,訴訟の終盤の証人尋問期日を迎えないと,肉声を聴くことはできないのです。

文書の場合には,文書提出命令といって,証拠を出さない当事者や関係者に提出させる手続はあるのですが,証言についてはそのような手続がありません。

一方で,アメリカでは,ディスカバリーという制度があり,その中にディポジションという宣誓供述録取という手続があります。これは,証人予定者に対して長時間質問を行って,その供述を記録化するというものです。
アメリカのリーガルドラマや裁判ものの映画などを観たことがある人は,法律事務所に相手と当事者が集まって,質問をするシーンが記憶にあるのではないでしょうか。あれがディポジションという手続です。
私は,この手続が日本にもあれば,もっと早い段階で,見通しが立てられるし,変な証言も牽制できるのになあ,と思うことがあります。実際の裁判における証人尋問では,ディポジションと矛盾することを言った場合には厳しく追及されるからです。
しかも,長くかかる事件だと,実際に証人尋問になるまでにあまりに時間が経ちすぎてしまうという問題もあります。

日本の民事裁判は,ずーっと前から書面中心主義でやってきたということと,陪審ではないということから,あまり証人尋問で勝負を決めるという発想がないのかもしれませんね。

調査の基本

2016.06.19 [ 齋藤 健太郎 ]

弁護士は無力です。

調査とはいっても,ドラマのように次から次に新しい事実が出てくるわけではありません。
探偵さんをお願いすることはありますが,そこまで思うように証拠が取れるということはそうそうありません。

しかし,だからこそとても大事にしていることがあります。
それは現場に行くことと,事実関係の聴き取りです。
当然,時間が経てば,記憶も曖昧になったり,混乱することもあるため注意しなければなりませんが,やはり現場に行って,その現場のイメージを掴み,関係者からできる限り話を聞くということは基本中の基本なのです。

これは私が最初から出来ていたことではありません。
先輩弁護士や尊敬する弁護士の先生方と一緒に事件をさせて頂くなかで,そういうことを一つ一つ教えてもらったのです。

さて,本題に入りますが,最近はやりの第三者委員会が,また報告書を出しました。
今回は桝添さんという政治家一人の問題ではなく,日本という国を揺るがす福島第1原発事故におけるものです。
東電は,メルトダウン(炉心溶融)という言葉についても定義ないしマニュアルを内部的に持っており,その状態にあることを認識していたのに,長期間,炉心溶融とは公表せずにいました。
この問題について,東電側が得意の第三者委員会を設置して,あのマムシの善三さんというヤメ件先生を含む法曹関係者が報告書を作成し,公表したとのことです。

私は報告書を直接読んでいませんが,一つだけ言えることがあります。
報告書では,官邸の指示が推認されるとしていますが,それに対して,管元総理や枝野元官房長官が強く抗議しているとのことです。
果たして,彼らは官邸に事実関係の聴き取りはしたのでしょうか。
当時の社長が,なんだか良く覚えていないけど,官邸からの指示だったんじゃないかな〜なんて言っているだけで事実を推認したわけじゃないですよね?
官邸からの指示だというのなら,当時の関係者から十分に事情を聞いて,それから判断するのが基本であり,それを怠ったことは,これまた弁護士の信頼を貶めたというほかありません。

弁護士が御用聞きだと思われることだけは本当に嫌ですね。

都知事の辞任

2016.06.18 [ 神村 岡 ]

東京都知事が,前任者に引き続きお金の問題で辞任することになりましたね。

ここ数日間,新たな疑惑の報道とそれに対する釈明が続いておりましたが,結局こうなってしまいました。

桝添さんは,到底公務とはいえないものにお金を出すことについて,まずいことだとは思わなかったのでしょうか。前任者があのような形でやめた後だけに,不思議でなりません。

また,結局桝添さんにとっては最悪の結果となってしまいましたが,最初からミスあるいは不適切な処理を潔く認めて謝罪していれば,ここまで問題が大きくなることはなかったのではないかと思います。
明らかに不適切と思えることが多々ありましたが,反省して以降適切な処理をしますということになれば,それで済んだ問題のようにも思えます。
そう考えると,つくづくもったいないなと思えてきます。

今回の騒動で得をした人は一握りでしょう。
都は都知事選に莫大な費用をかけることになりますし,その4年後の都知事選はオリンピックの時期にちょうど重なってしまいます。
桝添さんの都知事としての仕事ぶりがどうだったのかというところはほとんど報道すらされていないのでわかりませんが,少なくとも今回の騒動で都政は大きく停滞したのではないでしょうか。

次の都知事は,このようなつまらない問題で終了することがないといいのですが。

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