2013.11.29 [ 神村 岡 ]

検察官:
「起訴状を朗読します。」
「被告人は,・・・もって特定秘密の保有者の管理を害する行為によって特定秘密を取得しようとしたものである。・・・」

裁判官:
「今検察官が読み上げた事実について,被告人のご意見はいかがですか。」

被告人:
「秘密ってなんのことでしょうか?」
「自分が何の情報を得ようとして起訴されたのか全くわかりません。」
「認否のしようがありません・・・」


 特定秘密保護法案が,先日衆院を通過しました。
 国民の知る権利と真っ向から対立するにもかかわらず,知る権利とバランスととるための配慮が感じられず,疑問を感じずにはいられません。
 同法案には罰則も設けられており,「著しく不公正な方法で」秘密を取得しようとした者も10年以下の懲役という重い罰則の対象になっています。上記のやりとりは,その罰則に基づいて起訴された人の刑事手続の一コマをシミュレーションしてみたものです。
 具体的に同罰則に基づく刑事事件の手続がどのようになるかはわかりませんが,今のところ,裁判官にも被告人にも特定秘密の内容が知らされることは予定されていないようです。これで適正な刑事手続ができるとは到底思えません。

 将来,この法律に基づいて逮捕・起訴された人の弁護を引き受ける機会があれば,徹底的に戦おうと思っています。