2014.03.08 [ 神村 岡 ]

アルバイト先でお皿を割ってしまった・・・
会社の車(しかも無保険)をぶつけてしまった・・・

よくある話だと思います。

このように,従業員のミスで会社に損害を与えてしまった場合,従業員は会社に対して全額を賠償しなければならないのでしょうか。

損害を与えてしまったのだから当然弁償すべきだろうと考える方もいるかと思います。

しかし,基本的に,会社から従業員に対する請求は制限されます。

なぜかと言うと,会社は従業員を使用することで利益を上げている以上,それに伴って発生してくるリスクについては負担すべきだからです。これを,「報償責任」といいます。

個人でやっていれば利益もリスクも全部負担するはずのところを,たまたま従業員を使用しているからといってリスクだけを従業員に負わせることは許されないということです。

したがって,日常的に繰り返す業務の中で,注意をしていてもたまには発生してしまうというような事故については,従業員に責任を負わせることはできません。皿を割ったというケースはこれに当たることが多いでしょう。

他方,従業員に明らかに落ち度があるという場合には,従業員も一定の責任を負うことになります。
ただし,報償責任の観点から,会社は一部しか請求することができません。その割合はケースバイケースですが,従業員の責任はかなり制限されます。

結局,従業員が意図的に会社に損害を与えたといった例外的な場合を除いて,会社も一定の責任を負うということになります。

会社としては,ミスが発生しにくい体制づくり,各種保険への加入などによって,リスクを軽減する対策を講じておくべきでしょう。