2014.04.24 [ 神村 岡 ]

先日,1年生の担任となる高校の先生が,他の高校に入学した自分の子供の入学式に出席するために,担任となる高校の入学式を欠席したというニュースがあり,少し話題になっていました。


新入生の担任となる先生が入学式を欠席するなんてあり得ないという,かなり批判的な意見が出る一方で,理解できるという意見も多く,面白い議論になっているなと思いました。

仕事を休んで自分の子供の入学式に出るというのは,親としてごく一般的なことだと思います。教師であるというだけでこのような批判が出たのは,教師は特別な職責を負っている職業で,業務を最優先すべきだという見方があるからでしょう。

確かに,教師の仕事である児童・若者の教育というのは重要な仕事だと思います。そして,伝統的に,教師は「尊敬されるべき存在」であったのではないでしょうか。

しかし,だからといって,教師は自分の子供の入学式を優先してはならないということにはならないように思います。

親にとって,子供の入学式は一度しかありません。ですから,自分の子供の入学式に出たいという気持ちは尊重されるべきだと思います。

担任の先生が入学式を欠席して,新入生はあれっと思うかもしれませんが,翌日顔を合わせて普通に学校生活がスタートするでしょう。入学式に欠席することで特段問題が生じるとは思えません。

あるいは業務に対する姿勢の問題ということかもしれませんが,いずれの入学式を優先するかは個人の価値観の範疇の問題ではないでしょうか。

弁護士の業務においては,裁判を含めて日程調整は結構融通が利きますので,だいたい予定を入れたくない日には予定を入れないでおくことができます。そのため,自分自身は業務と子供の行事のどちらをとるかという問題に直面する可能性は低そうです。

しかし,全国的な大会が入ってしまったとか,その日に予定を入れないとかなり遅れてしまうとかいった事情があって子供の行事とかぶってしまう場合,どうするかは悩ましいですね。ケースバイケースで検討することになりそうです。