2014.06.06 [ 神村 岡 ]

横綱の白鵬が,先場所での優勝の翌日に恒例の記者会見を理由も言わずにキャンセルしていた件で,白鵬自身の口から理由が語られました。

白鵬の奥さんは第4子を妊娠していましたが,先場所中に流産してしまい,白鵬は先場所の13日目にそのことを知ったそうです。そして,もし記者会見に出れば第4子のことを聞かれていただろうし,奥さんの心情を考えると記者会見で流産の事実を明らかにするのは早すぎるし,かといって嘘をつくこともできないという葛藤の末,理由を告げずに会見をキャンセルしたそうです。

白鵬が会見をキャンセルすることはこれまでなかったので,何か理由があるのだろうとは思っていましたが,真実を知ってとても腑に落ちましたし,何かとても清々しい気持ちになりました。

一時的に批判されることを分かった上で,これしかないという適切な対応をしたのだと思います。


今回の白鵬の会見拒否のように,同じ出来事が,背景事情や経緯を知ることで全く異なるように見えることがあり,これは弁護士の業務にも通じるところがあります。

裁判でいかに説得的に主張・立証するかは,いかに必要な事実を拾い集めて主張・立証できるかにかかっていることが多いです。

また,裁判所に書面を提出する際は,裁判官がそれを読んでどのような印象を持つかを考えることがとても重要になります。

ただ,裁判官にはそれぞれ個性がありますから,提出した書面に対して予想外の反応を示されることがあります。

このあたりは弁護士業務の面白いところであり,難しいところでもあります。