2014.07.06 [ 神村 岡 ]

先日,閣議決定による憲法9条の解釈変更によって,集団的自衛権が行使可能とされました。

内閣に憲法の解釈権があるわけではないので,閣議決定に何か法的な効力があるわけではありません。

したがって,先日の閣議決定は,政府としての意思表示に過ぎないということになりますが,実際にこれから集団的自衛権を行使する可能性が出てきた以上,当然ですが実際には大きな意味をもちます。

今後,集団的自衛権の行使に関わる法案が成立し,実際に集団的自衛権が行使されると,集団的自衛権の合憲性を争う訴訟が提起され,司法の判断が示されることになるでしょう。

なお,日本において司法の判断の対象になるのは,具体的に国民の憲法上の権利が侵害された場合であって,具体的な国民の権利侵害を離れて,法律が合憲なのかどうかということを直接裁判所で争うことはできないことになっています。

そのため,集団的自衛権の行使についての法律が成立したとしても,実際にその法律に基づいた具体的な動きが出てくる段階にならないと,集団的自衛権の合憲性についての司法の判断が示されることはありません。

個別的自衛権と異なり,集団的自衛権の行使には,どの国への攻撃について自衛権を行使するのか,自衛権行使の対象とする国について,他国に出兵することもあり得る中でどの範囲を「自衛」とするのかなど,いろいろと判断しなければならないことがあり,その分判断者の恣意が働く余地があります。

集団的自衛権の行使の仕方によっては,簡単に戦争の当事国になってしまいかねないと思います。