2014.09.13 [ 神村 岡 ]

民法には,消滅時効というルールがあります。

これは,お金を請求することのできる権利(債権)は,請求が可能になったときから一定期間請求しなかった場合は,請求することができなくなってしまうというものです。

なぜこのようなルールがあるかというと,権利の行使がいつまでも許されるとすると,債務者がいつまでも不安定な状態におかれる上に,長期間の経過によって証拠がなくなってしまうことが多いというようなことが理由です。

消滅時効が成立するための期間は,基本的には10年間ですが,債権の種類によってより短い期間で消滅時効が成立することになっています。

例えば,不法行為による損害賠償請求権は3年間,労働者(ごく短期の契約の場合は除く)の給与請求権は2年間,旅館や飲食店の代金は1年間といった具合です。

このように,短期間で成立する消滅時効に関しては種類毎に細かく期間定められていたのですが,これが民法の債権法分野の改正により5年に統一される見込みとなりました。

かなりすっきりしますね。

そういえば,これまで残業代の請求は上記のとおり2年間の消滅時効にかかっていたのですが,これが5年間まで延長されると,かなりインパクトは大きいです。

残業代をしっかり支払っていない会社は,5年分の残業代を一度に請求されることになり,場合によっては相当な金額になります。このような可能性を考えると,使用者にとっては,普段から残業代をしっかり計算して支給するのはリスク管理としてとても重要だと思います。