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神村 岡弁護士ブログ

接見禁止

2014.12.27 [ 神村 岡 ]

犯罪を犯した嫌疑をかけられて警察署や拘置所に身柄を拘束されている被疑者と,施設内で会うことを面会又は接見といいます。

逮捕されてから2,3日の間は逮捕段階が続きますが,その間は弁護士を除いて誰とも面会することはできません。

その後,引き続き身柄拘束をする必要があるとして勾留されると,多くの場合は誰とでも面会ができるようになります。

しかし,共犯がいる事件や,否認している事件など,捜査機関側が一般の人と自由に面会させると良くないと考えるケースについては,接見禁止の処分がなされて,勾留段階に至っても勾留できないことがあります。

この接見禁止というのは,弁護士を除いて外部の人に面会することができないのですから,接見禁止を受けた被疑者の精神的苦痛は相当なものになります。
また,接見禁止がつくような事件では捜査が長引き,勾留期間も長くなる傾向があるため,長期間会いたい人と会えないということにもなりかねません。

場合によっては,一部の人との接見を認めても問題がないのに完全に接見が禁止されているケース,そもそも接見禁止の必要性が全くないケースもあります。

そのような場合,弁護人は,準抗告によって違法な接見禁止処分の取消しを申し立てたり,接見禁止処分の解除や一部解除(特定の人との面会を可能にする)を求めたりすることがあります。

刑事事件の弁護人の大事な仕事の一つです。

FFのつらさ

2014.12.20 [ 神村 岡 ]

FFとは,前輪駆動のことです。

そうです。私の車は前輪駆動なのです。

先日の大雪で,かなりの積雪になりましたが,その後少し暖かくなってまた寒くなってという過程を経て,我が家の駐車場の前の細い道路にひどい轍ができてしまいました。

そのような状況で車で出勤することになり,出庫は何とか切り抜けたのですが,夜帰宅して,切り返してバックで駐車しようとしているときに,轍にタイヤが取られて動かなくなってしまいました。

4WDであればこうはならなかったでしょう。

その場は何とか,10分間以上シャーベット状の雪を削ったり掻き出したりした末に再び動き出すことができましたが,いつ牽引のお世話になるかもわかりません。

ですから,ひどい轍の道を通るときには毎回緊張を強いられます。

なぜ車の販売店の人が4WDを勧めてくれなかったのか,不思議でなりません。


ソロモンの偽証

2014.12.13 [ 神村 岡 ]

9月から11月にかけて,宮部みゆきの「ソロモンの偽証」という小説を読みました。

全6巻の大作で,睡眠時間を削りながら読みました。

あらすじは,中学校の生徒が屋上から転落した事件をきっかけに,同じ中学校の不良が突き落としたのではないかという疑いが浮上し,同学年の生徒達が夏休みを利用して学校内裁判を行うというものです。

裁判のルールは,そもそも学校内裁判という設定なので実際の裁判とは異なる部分が多かったのですが,検察官や弁護人が,自分の主張を裏付けるために証人や証拠の確保に奔走する様子は,実際の裁判に通じるものがありました。

裁判で事実関係が争われる場合,最終的には当事者や証人の話を聞いて裁判官が判断することになるケースが多く,弁護士としてはいかに立証するかという点に頭を悩ますことになります。

小説の中では,裁判が進行する過程で次々と新しい事実が明らかになっていき,展開としては面白いです。

実際の裁判でも,それほど頻繁ではありませんが,色々と検討している間に有利な証拠が見つかったり,有利な視点を発見できたりということがあります。

そういう瞬間は小説よりも面白いかもしれません。

公示送達

2014.12.06 [ 神村 岡 ]

訴訟を起こすと,訴状は裁判所を通じて被告に送達されます。

このとき,通常は,被告が実際に訴状を受領して初めて送達の効力が生じます。

しかし,被告の居場所がわからない場合はどうすればよいのでしょうか。

このようなときに用いられるのが公示送達です。

公示送達は,裁判所の掲示板に,裁判所が書類を保管していていつでも受け取れる状態にある旨を掲示するだけで行うことができ,掲示して2週間を経過すると相手方が書類を受け取ったのと同じように扱われます。

訴える側からすれば非常にありがたい制度ですが,ほぼ間違いなく被告は裁判所の掲示板など見ることはないため,被告の知らないところで手続が進んでしまいます。

そのような重大な効果のある公示送達ですから,認められるためにはそれなりに厳しい条件が必要です。

住民票上の住所や,その他住んでいそうなところがあれば実際に住んでいないかどうかの確認をする必要がありますし(調査会社にお願いするケースが多いです),職場がわかればそちらに送ることができるので,職場がわからないということも公示送達が認められるための要件です。つまり,手を尽くしてもどこにいるかわからないと説明できて初めて,公示送達は認められるのです。

先日,会社を相手にする訴訟で公示送達が認められましたが,登記簿上の本店所在地や支店所在地の居住調査のほか,同場所にあるマンションの管理会社への聴取りをしても情報が得られないこと,実際に郵便物を送ってみてもとどかないこと,会社代表者の所在もつかめないことなどを証明しました。

このように,なかなかハードルは高いのですが,本当に相手の所在がわからない場合には有効な制度です。
相手の所在がわからないということだけで法的手続をあきらめる必要はないということは,頭の片隅に入れておいて損はないと思います。

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