2015.01.09 [ 神村 岡 ]

スウェーデン創業の家具メーカーであるイケアの椅子を買った男性が,椅子が壊れて怪我を負ったとして,イケアに訴訟を起こしたそうです。


何でも,男性は椅子の耐荷重の範囲内だったそうですし,組み立て方に問題があったとか,乱暴に扱ったとかいう情報は今のところないので,商品に欠陥があった可能性もあるのかなという感じはします。壊れた椅子を検査機関が検査したところ,同種品に比べて強度が足りなかったという情報もあります。

まだイケアの反論が明らかになっていません。どのような反論になるのか気になるところですが,まだ第1回口頭弁論期日が終わったばかりということなので,イケア側が具体的な反論をするのは次回以降ということになるのでしょう。

ところで,男性は手の付き方が悪かったのか,不幸にも親指を脱臼して障害を負ってしまったそうです。
椅子が壊れただけで手に障害を負ってしまうというのは,不運というか,少し結果が重すぎるような気もしますが,椅子に欠陥があったのであれば,イケアは基本的に男性の怪我について責任を負わなければなりません。

怪我をしたことについて男性に落ち度があったのであれば,過失相殺の問題になり,イケアは男性の過失分の責任は免れることになりますが,いきなり椅子が壊れて指に体重がかかる形で手をついてしまったということですから,男性の過失は問題にできないと思います。

なお,男性は体重がかなり重く,そのことも怪我が重くなった原因になっているかもしれませんが,イケア側は,そのことを理由に,怪我が重くなったのは男性のせいだということはできません。

被害者の身体的特徴の結果被害が重くなったとしても,加害者はその重くなった結果についても基本的には責任を負わなければならないのです。