2015.01.17 [ 神村 岡 ]

特別養子縁組という制度があります。

実の親との法的な親子関係が切れるという点で,実の親との親子関係と養親との親子関係が併存する通常の養子縁組とは異なります。

なぜこのような制度があるかというと,養親との間で,通常の親子と同様の関係を築かせることが子どもにとって有益だからということです。

特別養子縁組という制度があることで,子どもを育てていくことができない夫婦の間に生まれた子どもが,施設ではなく,普通の家庭環境の元で育っていくことができます。

特別養子縁組が成立するためには,実の両親の同意があること,子が6歳未満であること,養親が25歳以上であることなどの要件を満たした上で,裁判所の許可を得る必要があります。

一旦特別養子縁組が成立すると,実の親との法律上の親子関係が切れるという大きな効果が発生しますし,成立後は自由に離縁することもできませんので,裁判所が慎重に判断することとなっているのです。

なお,戸籍上も養親が養父や養母ではなく父,母と記載されるなど,普通の親子に見えるような配慮がなされています。
しかし,身分事項欄には,「出生」ではなく「民法817条の2(特別養子縁組の条文)の確定裁判により,●●戸籍より入籍」などと記載されるため,特別養子縁組であることはわかります。
ですから,いつかは子どもが知ることになると考えておいた方がいいのかもしれません。