2015.08.29 [ 神村 岡 ]

先日,日本とアメリカの相続法制の違いを調べてみる機会がありました。

大きく異なる点を挙げると,
①アメリカでは夫婦で築いた財産は夫婦の財産とされ,相続財産にはならない(日本では,例えば夫が死亡した場合,夫名義の財産はあくまで夫の財産として相続の対象になります)
②遺言等がある場合の遺留分の制度がアメリカにはない
③遺言書がない場合,日本では相続人間の協議で解決できるが,アメリカでは裁判所が関与するプロベートという手続を経る必要がある

このように,根本的なところでかなり違っています。

③についていうと,日本人であってもアメリカに資産を有していれば,プロベートを経なければ自由に処分することができませんので,注意が必要です。

プロベートの手続には年単位の長期間を要し,費用もかなりかかります。

遺言書を作成しておくことで,プロベートの手続は基本的には回避できるようですので,海外に資産がある場合には,通常の場合以上に遺言書を作成しておく必要性が高いといえますね。

なお,裁判所が関与するプロベートという手続は,アメリカ以外にも多くの国で求められるようです。海外に資産を有している場合には,相続のことも考えておくべきでしょう。