2015.11.21 [ 神村 岡 ]

民法の法律行為の章の最初の条文,民法90条に,「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」と規定されています。

法律家の間では,「公の秩序又は善良の風俗」を略して公序良俗と言われます。
条文の内容を言い換えると,社会的妥当性を欠く契約は効力を認めないということです。

基本的に,何か約束事(契約)をしたら守らなければなりません。法律上の義務にもなります。
その例外の一つが公序良俗違反で,公序良俗に反する約束をしても法律上は無効です。

例えば,何らかの犯罪行為を犯す対価として報酬を与えるという内容の契約をしたとしても,社会的妥当性がありませんので,無効とされます。

また,例えば500万円のお金を貸す際に,3000万円の不動産を担保にして,期限までに支払えなかったらその不動産を債務弁済の代わりに譲り受けるという契約をしたとします。これも,相手の弱い立場を利用して暴利を得ようとするもので,公序良俗違反に当たります(このようなケースは,現在では,債務の額と担保の価格の差額は精算しなければならないと法律で規定されています)。

約束が無効になるという強い効果が認められますので,それなりにハードルは高いのですが,認められるか否かで結論が全く変わってきます。

弁護士としても戦いがいがあるケースです。