2015.12.19 [ 神村 岡 ]

先日,民法が定める女性の再婚禁止期間について,100日を超える部分は違法とする最高裁判決が出ました。

民法では,女性の再婚禁止期間は180日となっていましたが,今回の判決により,100日まで短縮されることになります。

再婚禁止期間が定められた目的は,父親の子が誰の子なのかわからないという事態を避けることにありました。
また,180日というのは,妊娠していれば通常は外見で判明しうる月齢で,再婚する際に妊娠していないことが外見で確認できるという意味合いだったようです。

しかし,これまでずっと指摘されてきたことですが,近年ではDNA鑑定による父子関係の判定が可能になっており,生物学的に誰の父親なのかわからないということはありません。
そのため,再婚禁止の当初の目的は必要性を失っており,それが今回の違憲判決につながりました。

他方で,民法には,子の父親や妊娠時期の推定規定も存在します。

婚姻期間中に妊娠した子の父親は夫と推定する
婚姻成立後200日を超えて,又は婚姻解消後300日以内に出産した子は,婚姻期間中に妊娠したものと推定する(夫が父親と推定される)
というものです。

仮に離婚後すぐの結婚を認めると,前の結婚の解消から300日以内,かつ後の結婚成立後200日を超えて出産するということがあり得ることになり,その場合上記の推定規定が二重に適用され,うまく機能しないことになってしまいます。

そのため,100日間の再婚禁止期間は残し,前の結婚解消から300日以内と,後の結婚成立後200日を超える日というのが重ならないようにしたのです。