2016.03.05 [ 神村 岡 ]

3日,札幌地裁で,おとり捜査によって得られた証拠を違法収集証拠として再審開始を認める決定が出ました。

おとり捜査とは,捜査機関が取引相手の振りをして近づいて犯罪行為を行わせて逮捕するという捜査です。

おとり捜査と一口に言ってもいろいろあり,大きく分けると,相手がある犯罪行為をしようとしているところにその取引相手の振りをして近づく場合と(機会提供型といえます),相手が犯罪行為をしようと思っていないところに,近づいていって誘いを掛け,犯罪行為を行わせる場合(犯意誘発型といえます)に分けることができます。
後者の方が,捜査としての違法性がより問題になり易いことはいうまでもありません。

今回の事件でも,後者の類型のおとり捜査が問題とされました。
ニュースによれば,捜査協力者が被告人に拳銃の取引を持ちかけて,拳銃を所持して入国させたということのようです。

証拠を得る過程での捜査が違法だったと評価される場合,その違法な捜査によって得られた証拠は刑事裁判の中では証拠として使ってはならないという原則があります。

今回の再審決定は,銃について違法なおとり捜査で得られたものであり,違法収集証拠として排除されるべきであるという認定をし,再審開始を認めたものです。

捜査等の手続の違法を理由に再審決定を認めたところも画期的です。