2016.09.03 [ 神村 岡 ]

知らぬ間に被告になっていたとして,最高裁が裁判のやり直しを認めたというニュースが流れていました。

訴状などの裁判所に提出された書類が被告に送達されることは,裁判手続を行うための前提です。
かたい言葉で言うと,手続保障の問題です。

今回の事件では,訴状が被告の職場宛として送達されていたところ,被告とされた夫婦はその場所を職場としてはいなかったようです。ですから,そもそも訴訟が提起されたことを知る機会が全くなかったということになりますから,裁判のやり直しを命じた最高裁の判断はある意味当然です。

もっとも,現実に訴状が送られた事実を知らなかったとしても,実際に住んでいる住所に送付されている場合は,送られた時点で送達したものとみなされることがあります。
裁判所からの送達に対して,居留守を使ったり,不在伝票が入っているのに取りに行かなかったとしても,ちゃんと送達されたものとして扱われることになるのです。

ですから,やはり裁判所からの書類が届いたらしっかり受け取って,確認するようにしましょう。