2016.10.28 [ 神村 岡 ]

消滅時効というのは,一定期間以上請求などの時効中断事由がないと請求権が消えてしまうという制度です。
時効という名前や,そういう制度があること自体は知っているという方は多いと思います。

しかし,その具体的な内容についてはどうでしょうか。

何年経過したら請求できなくなるかという消滅時効の期間は,基本的には10年で,商売がからんだりする場合は5年です。このあたりは知っている方も少なくないかもしれません。

また,近々予定されている民法改正によって5年に統一されるかもしれませんが,現在では債権の種類によって1年とか3年とかの短い消滅時効期間も定められています。例えば,運送賃は1年,労働による賃金請求権は2年,医師の診療報酬請求権は3年といった具合です。
未払賃金を請求するときは,2年以上前のものは請求できないのです。

それと,意外と知られていないのが,何をしたら請求したと言えるかということです。

消滅時効の期間の進行を中断するための「請求」は,裁判上の請求(訴訟提起など)を意味します。
ですから,たとえ毎月請求書を郵便で送っていても,消滅時効の完成を防ぐことはできません(なお,ただの請求書でも,消滅時効完成間際に期間を6か月延長する効果はあります)。

請求以外にも,債務者の承認があれば消滅時効は中断します。
弁済も承認の一種といえます。

このような最低限の知識がないと,思わぬ不利益を被ってしまうかもしれません。