2016.12.24 [ 神村 岡 ]

新潟県の糸魚川で大規模な火災が発生しましたね。

消失した家屋は約150棟と言われていますから,甚大な被害です。
人的な被害が無かったことは不幸中の幸いでしょう。

火元は中華料理店で,鍋の空だきが原因とのことです。
そのようなちょっとしたミスがこれだけ大規模な被害を生むのですから,やはり火災は怖いですね。

火災の原因を作ってしまった店主の法的な責任については,失火責任法により,重過失があったか否かで判断されることになります。

重過失というのは故意に近いようなひどい過失とされていますので,責任が認められるハードルは高いのですが,過去には火に掛けた油の入った鍋を放置して火災になった事例で重過失ありと判断された事例もありますので,今回の件も重過失ありと判断される可能性はあります。

店主がどれくらいの間コンロから離れたのか,鍋の中に何がどれくらい入っていたのかといった点は判断要素になると思います。仕事として火を扱っていますから,その点で一般の方よりは重過失が認められやすいでしょう。

重過失が肯定された場合,店主が全ての損害を賠償する能力があるとはとても思えませんが,個人責任賠償保険に加入していた場合,保険金が支払われる可能性があります(個人責任賠償保険では重過失でも支払われる場合があります)。
重過失が否定された場合,延焼で被害を受けた方は,火災保険に入っていなければ補償を受けられないことになります。
やはり,火災保険は必ず入っておくべき保険です。