2017.02.18 [ 神村 岡 ]

窃盗罪で起訴され,1審と2審で執行猶予付の懲役刑の宣告を受けた,煙石さんという元アナウンサーの方の刑事事件について,最高裁で弁論が開かれました。

最高裁で弁論が開かれるときは結論が変わると言われていますので,本件でも結論が変わる可能性が高いです。

事案は,銀行に被害者が置き忘れた封筒の中から現金を抜き取ったというものですが,そもそも現金が封筒に入っていたのかどうかという点が立証できていないと弁護側は主張しています。そのとおりであれば端的に無罪ですが,1審と2審はこの点をどのように考えたのか気になります。

違う形で結論が変わる可能性もあります。

報道によると,被害者が記帳台に封筒を置き忘れたすぐ後に,煙石さんがその付近に近づいたということですが,置き忘れてからそれなりに時間が経っていたり,被害者が銀行からかなり離れていたのであれば,窃盗罪ではなく占有離脱物横領罪(いわゆるねこばば)の問題になります。占有離脱物横領罪であれば,量刑はより軽くなります。

置き忘れたものをとった場合に,窃盗罪になるのか占有離脱物横領罪になるのかは,程度問題で微妙なところなのです。

そんな微妙な点について結論を変えるためだけのために最高裁が弁論を開くというのは,やはりあまりないような気もしますが,一応理論的にはそのような可能性も考えられるということです。