2017.03.11 [ 神村 岡 ]

3月10日,窃盗罪に問われた煙石さんという元アナウンサーの方について,最高裁判所が無罪の判決を出しました。

先日のブログでも書いたとおりですが,煙石さんは他の客が記帳台に置き忘れた封筒の中から現金を抜き取って盗んだという罪に問われていて,第1審と第2審では有罪とされましたが,煙石さんは一貫して無罪を訴えていました。

最高裁は,煙石さんが現金を封筒から抜き取ったところが防犯カメラに写っていないこと,現金が入っていたとする女性の証言に高い信用性があるとはいえないことから,煙石さんが現金入りの封筒を盗んだとするには合理的な疑いが残ると判断しました。

結局,封筒に現金が入っていたという点に十分な証拠がなかったということになります。

地裁や高裁の判決,弁護人や煙石さん本人が書いた上告趣意書などが,「煙石博さんの無罪を勝ち取る会」のHPにアップされています。
高裁の判決だけを見ると,封筒に現金が入っていたことについてそれなりに詳細な検討を加えていて,合理的な判断をしているようにも思えるのですが,他方で,上告趣意書を見ると高裁の判断が一面的であることがわかります。

ブログの中で高裁判決や上告趣意書の骨子を書こうかとも思いましたが,簡単にはまとめられそうにないため断念します。興味のおありの方は上記HPから直接見てみてください。

なお,先日のブログで,仮に有罪だった場合に占有離脱物横領罪に該当する可能性も指摘しましたが,判決等の中で触れられている事実経過を見ると,犯行があったとされる当時被害者は5メートル程度しか離れていなかったようですので,その可能性は否定できます。