2017.04.08 [ 神村 岡 ]

債務整理の一種に個人再生という手続があります。

どういう手続かというと,一定のルールに従って債務額を圧縮して,圧縮された金額を3年から5年の間に支払えば残りの債務は免除されるという裁判所の手続です。
例えば,500万円から1500万円の債務がある場合には5分の1に,500万円未満の場合は100万円に圧縮されますので,そのままでは支払えなくとも,再生手続を使えば払うことができるという場合は結構あります。

破産と比較すると,財産を手放す必要がないというのが個人再生の大きなメリットです。
また,住宅ローンが残っていて自宅に抵当権がついている場合にも,自宅を維持することができる場合があります。

ただし,利用するには,圧縮した金額を安定して分割で返済していくことができるといえる必要があります。
この点で,長年同じ会社に勤めていて給与も安定しているという方は,簡単とはいいませんが比較的問題なく個人再生手続を利用することができます。
他方で,個人事業主で収入が安定しないという方の場合はスムーズにいかない場合もあります。

また,先ほどの圧縮ルールには,手続開始時にもっている財産の価値の総額を算出して,その金額以上は支払わなければならないというルールもありますので,事業用の資産,売掛金などがある方は,返済額が高めになってしまうこともあります。
しかし,事業自体は収益を出せているという場合には,仮に多額の債務を抱えていても個人再生手続を利用することで乗り切ることができる可能性がありますので,事業者にとっても使える制度であることは間違いありません。