トップページ > 弁護士BLOG > 神村 岡弁護士

神村 岡弁護士ブログ

面会拒否と親権変更

2015.02.28 [ 神村 岡 ]

離婚後に,離れて暮らす子どもと面会することを面会交流といいます。

面会交流は,離れて暮らす親にとって重要であるのと同時に,子どもにとっては実の親と会う大切な機会でもあります。

そのため,離婚に当たっては,離れて暮らす親が子どもと会うのが適当でないような事情がない限り,面会交流についても話し合うべきですし,親権を得て子どもと一緒に暮らす親は,離れて暮らす親が子どもに会うのにできる限り協力すべきでしょう。

ところが,他方の親に子どもとの面会交流をさせるという前提で親権を得た親が,離婚後は面会に非協力的になったり,拒否したりするケースも多いのが実情です。

中には,子どもに「会いたくない」と言わせたりして面会交流を拒否しようとする残念なケースもあります。

先日,福岡家庭裁判所で,正当な理由がないのに面会交流を拒否したことを理由として,親権を他方の親に変更する決定が出ました。

面会拒否を理由に親権を変更するという判断はこれまでにはあまりなかった判断です。

あくまで親権の変更であって,監護権はこれまで親権をもっていた方の親に残りますので,子どもと一緒に住む親が変わるわけではありませんが,親権が移ることによって,離れて暮らす親の関与が強まることになります。

このような決定が一般的になれば,面会交流を不当に拒否するケースは一定程度抑えられるでしょう。

業務上過失致死傷罪

2015.02.20 [ 神村 岡 ]

企業の活動には様々なリスクが伴います。

企業活動によって人に怪我をさせてしまった場合,あるいは死亡させてしまった場合には,民事上の損害賠償責任が発生する場合があるほか,業務上過失致死傷罪(刑法211条)にも該当し,代表者や従業員が刑事責任を問われることがあります。

業務上過失致死傷罪は,業務上必要な注意を怠って,人を死傷させた場合に成立します。

法定刑は,5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金です。

「業務上」が付かない単純な過失致死罪は50万円以下の罰金,過失致傷罪は30万円以下の罰金又は科料ですから,「業務上」が付くことでかなり刑が加重されているといえます。

以前は,自動車を運転して人を死傷させてしまった場合も業務上過失致死傷罪の対象になっていましたが,2007年の改正以降は自動車運転過失致死傷罪が新設され,自動車事故の場合はそちらが適用されることとなっています。

なお,業務上過失致死傷罪は,代表者や従業員に適用されるもので,会社が処罰の対象となることはありません。

渋谷の温泉施設で起きたガス爆発事故や,JR福知山線の脱線事故でも,刑事責任を問われたのは役員などであって,法人ではありません。

会社の活動によって人を死傷させた場合に会社が責任を負わないのはおかしいという意見もあるかと思いますが,刑法は個人のみを刑事責任の対象にしています。

他方,従業員が過失で人を死傷させてしまって損害賠償責任を負う場合,民法715条の使用者責任により,会社も民事上の損害賠償責任を負います。
従業員が損害賠償責任を負う場合でも,会社が注意を怠っていなければ責任を負わないという例外規定はありますが,その例外規定が適用されるハードルはかなり高く,ほとんど適用されることはありません。

看板落下事故

2015.02.18 [ 神村 岡 ]

先日,札幌駅にほど近い繁華街で,看板が落下して通行人の女性に当たり,大けがを負わせてしまうという事故が発生しました。女性はまだ意識不明の重体とのことです。


看板は85年に設置されたもので,設置以来,目視による点検しかしていなかったようです。

この看板は,建築基準法上,年に1回,目視か打音などで以上の有無を確認することが義務づけられていました。看板を設置していた店は,業者に依頼して目視による点検を行っていたということですから,建築基準法の安全確認の規定には違反していなかったということにはなるのかもしれません(地上から15メートル上の看板を本当にちゃんと目視できたのか,検査になっていたのかという点は気になります)。

しかし,看板を設置・管理していた業者は,建築基準法上の規制とは別に,民法717条により,その看板が落下するなどして他人に危害を与えたことについて賠償責任を負います。建築基準法上の規制に従っていたから良いというものではないのです。

もっとも,十分な注意を払っていたにもかかわらず事故が起こってしまったのであれば,賃借人などその看板を単に管理していただけである者は責任を免れる場合がありますが,その場合はその看板の所有者が賠償責任を負うことになります。

では,看板を保守点検する業者に対して,高所での打音による確認なども行うことができる十分な費用を支払っていて,その業者がしっかり仕事をしていれば事故が防げたという場合はどうでしょうか。

この場合でも,看板の所有者が被害者に対する責任を免れることはありませんが,保守点検を委託していた業者に対して求償(自分が賠償した分について支払を求めること)することができる可能性があります。


今回の事故は,おそらく経年劣化によるものでしょう。
このような事故が発生してしまう前に何とかならなかったのかと思えてなりません。

そして父になる

2015.02.14 [ 神村 岡 ]

福山雅治主演の映画です。

先日テレビで放送していたのを録画して見ました。


あらすじを言うと,
産院でのあかちゃんの取り違えが6年後に発覚し,その後相手の家族とのやりとりを経て,最終的には子どもを交換して,血のつながりのある親が子どもを育てていくことにするというものです。

福山が演じる父親は,仕事が多忙でなかなか子どもと一緒に過ごす時間が持てない父親で,取り違えを機に育ててきた子に対してドライな面も見せていたのですが,いざ交換した後になって,ようやく6年間を親子として過ごした絆を再確認することになります。

親子の絆を考えさせられる良い映画だったと思います。
久しぶりに映画を見て感動しました。


ところで,映画の中では,取り違えられてしまった2組の夫婦(子どもも,両親が代理人となって原告になっているかもしれません)が,産院に対して損害賠償請求の訴訟を起こしています。

取り違えは明らかに産院のミスですし,それによって2組の夫婦と子は実の子,親と一緒に過ごす機会を奪われるという精神的な苦痛も受けていますから,賠償請求自体は問題なく認められるでしょう。

問題はその金額です。

過去に同じような事例があれば,それを参考にして金額を算定することもできますが,赤ちゃんの取り違えの場合はどうでしょうか。

いずれにしても,明確な答えはありませんから,いかに訴訟の中で具体的に精神的苦痛を表現していくかによって結論は左右されるのです。

ロングドライブ

2015.02.07 [ 神村 岡 ]

明日,セミナーの講師を担当するため地方出張に行きます。

車で片道約3時間のロングドライブです。
日帰りですので,往復6時間です。

幸い天気が良いようですので,快適なドライブになるでしょう。
少し長いですが。

ロングドライブといえば,私の過去最長の日帰りロングドライブは,紋別の裁判所まで期限ギリギリの書類を届けに行ったときです。

片道5時間ですから,さすがにこのときは,復路を半分走った頃からかなりの疲労に襲われました。

ロングドライブの最中に何をするかですが,音楽を聴いたり,ラジオを聴いたり,英語のリスニングをしたり,歌ったり,考え事をしたりという具合でしょうか。

普段,何もせずにゆっくり考え事をする機会はそう多くありません。
そういう意味では貴重な時間といえるかもしれません。

被告人,被疑者との面会

2015.01.31 [ 神村 岡 ]

刑事事件の被告人,被疑者の弁護人が勾留されている被告人,被疑者に会うことを,接見といいます。

接見という言葉は,刑事訴訟法で出てきます。
勾留されている被告人又は被疑者の権利として,立会人なしに弁護人と接見することを認めているのです。
刑事被告人が弁護人を依頼する権利は,憲法上保障された権利であって,刑事訴訟法の接見交通権の規定は,憲法上の権利を具体化したものということができます。

そのため,一般の方が勾留中の被告人,被疑者と面会するのとは異なる配慮がされています。

例えば,先に書いた立会人なしでという点もそうですし,警察署で面会する場合は面会時間に特に制限がない,一般の方との面会を禁止しても,弁護人との接見を禁止することはできないといった具合です。

ところで,最近警察署に接見に行き,来訪目的を告げる際に,身分を告げた上で「●●に面会です」と言ったところ,「接見ですか?」と聞かれるということが何回かありました。

「接見ですか?」と聞き返したのは,弁護士も弁護人としてではなく一般人として被疑者に面会することもありうるという前提で,一般人としての面会ではないことを確認する趣旨だったのでしょう。

弁護士が一般人として被疑者に面会することはあまりありませんので(私はまだ経験ありません),そこをいちいち確認するのかと心の中で突っ込みを入れましたが,やはり言葉は正確に使うことを心がけるべきですね。

企業再生セミナー

2015.01.24 [ 神村 岡 ]

昨日,診断協会北海道の実践的企業再生研究会が主催する,企業再生に関するセミナーが開催されました。

内容としては,中小企業診断士が企業の再生に取り組む際の姿勢や具体的な取り組み方,診断士が企業再生に携わった具体的事例の報告などで,金融機関や中小企業の支援機関の方が多数参加されました。

セミナーの内容として印象に残った点があります。

それは,中小企業に対して支援する際,内容的に正しいアドバイスをしても,結局それが実践されなければ意味がないという点です。

中小企業には,人材や資金の面で制約があります。

これをやれば上手くいくという提案をしても,それを担えるだけの人材がいなかったり,実行するだけの資金が十分になかったりすれば,結局は何にもなりません。

当たり前のことではありますが,専門家がアドバイスをする際に見落としがちなことではないかと思います。

企業を深く知らなければ,その企業に合ったアドバイスはできないということですね。

特別養子縁組

2015.01.17 [ 神村 岡 ]

特別養子縁組という制度があります。

実の親との法的な親子関係が切れるという点で,実の親との親子関係と養親との親子関係が併存する通常の養子縁組とは異なります。

なぜこのような制度があるかというと,養親との間で,通常の親子と同様の関係を築かせることが子どもにとって有益だからということです。

特別養子縁組という制度があることで,子どもを育てていくことができない夫婦の間に生まれた子どもが,施設ではなく,普通の家庭環境の元で育っていくことができます。

特別養子縁組が成立するためには,実の両親の同意があること,子が6歳未満であること,養親が25歳以上であることなどの要件を満たした上で,裁判所の許可を得る必要があります。

一旦特別養子縁組が成立すると,実の親との法律上の親子関係が切れるという大きな効果が発生しますし,成立後は自由に離縁することもできませんので,裁判所が慎重に判断することとなっているのです。

なお,戸籍上も養親が養父や養母ではなく父,母と記載されるなど,普通の親子に見えるような配慮がなされています。
しかし,身分事項欄には,「出生」ではなく「民法817条の2(特別養子縁組の条文)の確定裁判により,●●戸籍より入籍」などと記載されるため,特別養子縁組であることはわかります。
ですから,いつかは子どもが知ることになると考えておいた方がいいのかもしれません。


椅子が壊れて

2015.01.09 [ 神村 岡 ]

スウェーデン創業の家具メーカーであるイケアの椅子を買った男性が,椅子が壊れて怪我を負ったとして,イケアに訴訟を起こしたそうです。


何でも,男性は椅子の耐荷重の範囲内だったそうですし,組み立て方に問題があったとか,乱暴に扱ったとかいう情報は今のところないので,商品に欠陥があった可能性もあるのかなという感じはします。壊れた椅子を検査機関が検査したところ,同種品に比べて強度が足りなかったという情報もあります。

まだイケアの反論が明らかになっていません。どのような反論になるのか気になるところですが,まだ第1回口頭弁論期日が終わったばかりということなので,イケア側が具体的な反論をするのは次回以降ということになるのでしょう。

ところで,男性は手の付き方が悪かったのか,不幸にも親指を脱臼して障害を負ってしまったそうです。
椅子が壊れただけで手に障害を負ってしまうというのは,不運というか,少し結果が重すぎるような気もしますが,椅子に欠陥があったのであれば,イケアは基本的に男性の怪我について責任を負わなければなりません。

怪我をしたことについて男性に落ち度があったのであれば,過失相殺の問題になり,イケアは男性の過失分の責任は免れることになりますが,いきなり椅子が壊れて指に体重がかかる形で手をついてしまったということですから,男性の過失は問題にできないと思います。

なお,男性は体重がかなり重く,そのことも怪我が重くなった原因になっているかもしれませんが,イケア側は,そのことを理由に,怪我が重くなったのは男性のせいだということはできません。

被害者の身体的特徴の結果被害が重くなったとしても,加害者はその重くなった結果についても基本的には責任を負わなければならないのです。

年始めの過ごし方

2015.01.03 [ 神村 岡 ]

明けましておめでとうございます。

皆さんはどのような正月をお過ごしでしょうか。

私は,例年どおり初詣をしたり,妻の実家に行ったりおせちを食べたりということもしていますが,昨年末に転居したため,新居での生活を整えるのにいろいろとばたばたとしています。

私自身の実家は山形ですが,遠方なので,なかなか毎年帰省するというわけにもいきません。今年は札幌で過ごしています。

今年の初詣は,豊平神社に行ってきました。
ネット情報によると全国区のパワースポットらしかったのと,以前の住所にも近かったためです。

パワースポットだったためか,豊平神社は相当混雑していて,神社の駐車場にもなかなか入れず(私は途中であきらめて近隣のコインパーキングに駐めました),参拝の列もかなり長くて,寒空の下で40分以上待ちましたので,参拝が終わる頃には完全に冷え切っていました。

それにしても,普段信心深いわけではありませんが,初詣に行くと身の引き締まる感覚があります。

何か霊的なものが関係しているのでしょうか。

近所の神社にも参拝に行くつもりです。

<  | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 

ページ上部へ