2014.03.20 [ 小西 政広 ]

今100万円がある。

その100万円を何に使うかは人によりますが,仮に1年間で5%儲かる投資をしたとする。

そうすると,1年後には今の100万円が105万円になりますね。


他方で,

交通事故に遭って,重い障害が残ってしまった方が,1年後の1年間で稼ぐはずの100万円を失うとする。

交通事故の損害賠償訴訟では,この将来稼ぐはずのお金も,加害者から賠償を受けることができます。


しかし,最初にしたお話のために,将来の100万円は,現在は100万円ほどの価値はない,と判断されてしまいます。


今の裁判では,現金は,年間5%の利益を産めるもの

と考えられています。

そうすると,1年後の100万円は,現在の価値に直すと,0.9523をかける必要があります。

10年後の分は,0.6139をかけます。

20年後の分は,0.3768をかける。

30年後の分は,0.2313を。

これらの数値は,ライプニッツ係数といいます。


しかし,現在の低金利状態を考えれば,今ある100万円を1年後に105万円とすることは,相当困難でリスクの高い投資しなければなりません。

被害者に,そのような投資(投機)を強いることとなる利率は,障害の重さを考えるにつれ,公平では無いと感じます。