2014.09.24 [ 小西 政広 ]

事故により怪我をして,後遺障害が残った場合には,その後遺障害により,将来稼げたはずのお金が稼げなくなったと考え,その分の損害を加害者に請求することができます。この将来稼げたはずだけど,失ってしまう損害を逸失利益といいます。

たとえば,1年後に本当は500万円稼げたはずなのに,多分400万円くらいしか稼げなくなるだろう,ということで,1年後に稼ぐはずの100万円を,損害賠償として,今もらうわけです。

しかしこの100万円,100万円のままでもらえるわけではありません。


どういうことかというと,

今100万円持っているとします。そうすると,1年後には,これを運用する等して,105万円くらいになるかもしれません。というか,今の民法によれば,これは1年で5%の運用益が出るとみなします。

そうであれば,1年後の100万円は,現在の価値になおすと,100万円よりは少ない金額になります。

5%というと結構な利率なので,20年後の100万円を現在価値に直すとすると,相当減額されてしまいます。

この調整のために使われる数値がライプニッツ係数,ホフマン係数といいますが,現在の趨勢はライプニッツ係数です。

100万円を20年間失い続けるとして,その分を一気に今もらうとすると,

100万円×12.4622となります。20年間なのに,12年ちょっと分しかもらえないんですね。

5%で運用するというのも酷な話のような気がしますが,長いスパンで見るとどうなんでしょうか。