2014.10.22 [ 小西 政広 ]



「他人の物を損壊し,又は傷害した者」は,「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金もしくは科料」に処せられます(刑法261条)


この「損壊」については,広く物本来の効用を失わしめる行為を含むとするのが一般的で,確かに広く解釈すれば,

携帯電話を持ち去られる→当該携帯電話はその本来の機能を失う

ということで,「広く効用を失う」といえなくもないんでしょうか?

やはり,「損壊」という語義からすると,物理的に壊さないとだめだとおもいます。

かつて判例では,鍋の放尿したケースで,「損壊」と評価されました。

これはまあ,その行為だけで食器としては使えなくする行為ということで,物理的に壊していなくても「壊した」に等しいと納得できます。

刑法は,処罰が強力であり,文言を不明確に解釈してもよいということになれば,人の行動を極端に制限してしまいます。

なので,不明確な解釈は許されない,という原則があります。

今回のケースは,さすがに示談していなくても,器物損壊では起訴しないと思います。ね。