通常,交通事故が起こったとき,運転手が事故の責任を負います。
しかしこの原則は自動車損害賠償保障法という法律によって,拡大されています。
この法律では,「運行供用者」という要件により,実際に自動車を運転していない人にも責任を負わせることが可能となるケースを認めています。
実際の判例では,
国道沿いで,周囲にフェンスや壁もなく,誰もが車両を容易に発見でき,自由に出入りできる民宿の駐車場に,夜間キーをつけたままドアロックもしないで停めていた車両が窃取され,事故を起こした場合に,車両保有者には車両の管理を怠った過失があり,窃取後近接した時間と場所において本件事故が発生していることから,車両保有者に運行供用者責任がある
と認められたケースがあります。
車を盗まれただけでも被害者といえるのに,さらにその犯人に交通事故を起こされ,怪我をする被害者がでたらその責任も負わなければならないとなると,たまったものではありません。
車両の保有者は,自分の目の届かないところで自分の車を危険な行為に使われないように,最低限の注意を尽くす必要があるということでしょう。