2015.02.18 [ 小西 政広 ]

弁護士の懲戒処分が公告されていました。

①被懲戒者(弁護士)は,懲戒請求者らから医療過誤事件に精通した他の弁護士の紹介を求められ,また,共同受任するように求められたところ,自ら事件を遅滞なく処理できる状態になく,他の担当の勤務弁護士にも医療過誤事件の患者側弁護士に期待される善管注意義務を尽くして遅滞なく適切に事件処理できるだけの時間と経験がなかったにもかかわらず,医療過誤事件に精通し,又は医療過誤事件に相当程度経験のある弁護士を懲戒請求者らに紹介し,当該弁護士と共同受任するよう努力しなかった。

②訴え提起前に専門家医師等から意見聴取をしなかった。

③被懲戒者は,訴え提起前になすべき活動をしないまま訴えを提起したことにより,第1回弁論準備手続期日から辞任に至るまでの約8ヶ月,認否及び反論を準備できなかった。

他にも懲戒の理由となる事情はあり,それら全てを包括的に評価すると,弁護士としての品位を失うべき非行に該当する,として,戒告処分がなされていました。

「他の弁護士を紹介しなかったこと」や,「専門家医師等に意見を聞かずに訴訟提起したこと」が,懲戒の理由の一つとなるケースは極めて稀でしょう。「8ヶ月間認否反論しなかった」というのも,他の訴訟を比較に挙げれば普通ではない事態です。
医療訴訟が,弁護士業務の中でも特に専門性が求められるものであるということを再認識させられた事例でした。