2015.02.25 [ 小西 政広 ]

例えば離婚の際の約束事について,公正証書に残したい,という相談を受けることがよくあります。

しかし,よくよく話を聞いてみると,「公正証書に残さないと法律的に無効な文書となる」という誤解に基づいて話されている方がいらっしゃいます。

公正証書を作成すると,例えば「○○円を支払う」という約束事があった際に,その書き方を工夫することによって,裁判をせずに,いきなり相手の財産を差し押さえることができる効果があります。差押えの手続は,裁判所を通さないと出来ませんが。

公正証書は,その文書が法律的に有効か無効かを分けるというものではありません。

逆に言うと,公正証書でなければ無効なんだという誤解があると,公正証書でないからといって,気軽に公正証書でない文書にサインしてしまい,後からその合意を覆すことが難しくなる,という事態も考えられます。

ただ,公正証書を作成すると,きちんと本人確認をした上で合意書などが作成されますので,後から,「自分はそんな文書作っていない」などといわれることを未然に防止するという効果はあります。

また,遺言については,公正証書でなくてもすることができますが,作成した本人が亡くなった際に,遺言の存在を調べることができず,結局遺産分割に反映されないと言う事態も考えられるので,一般的には公正証書遺言を作成した方がよいでしょう。

公正証書の作成についても公証人に支払う手数料がかかりますので,その機能についてきちんと知った上で選択をしていくべきです。