2015.05.27 [ 小西 政広 ]

住宅ローンの繰り上げ返済ってありますね。

銀行としては,35年なら35年分の利息を期待していてもおかしくないのですが,早く住宅ローンを返せば,その分利息も安くなります。

しかし,本当は,このような扱いは原則ではありません。

民法136条第2項には,

期限の利益は,放棄することができる。ただし,これによって相手方の利益を害することはできない。

と規定されています。

期限の利益とは,支払をすぐにしなくてもよい,という利益です。一気に住宅ローン全部返せと言われると困りますよね。だからすぐに支払わなくてもよいというのは,借り手にとって利益です。

借り手は,これをいつでも放棄できます。ただし,相手方の利益を害することはできない。
つまり,支払をすぐにしなくてよい間にもらえるはずの利息を支払わない,ということはできない,と定められています。

ですから,契約書に,「繰り上げ返済された金額に対しては,その後は利息がかかりません」という条項が入っていなければ,早く返しても利息を全部請求されてしまいます。

住宅ローン以外の金銭の貸し借りにも当然同じ事がいえますので,注意してみて下さい。