2017.01.18 [ 小西 政広 ]

修理によって問題なく使用できるようになったとしても,中古車市場においては,事故車両は縁起が悪いなどの理由も含め様々な消費者心理によって価値が下がることがあることは否定できません。

こういう場合には,原則として,評価損という項目で,価値が減少した分を相手に請求することができます。

ただ,実務を経験していると,これが十分に認められるということはあまり多くない印象です。

その理由として,

修理して問題なく使用できているのであれば,売らない限り損失は表面化しない

ということを言われることがあります。裁判所においても,です。

しかし実際には,事故車となったことにより自分の持ち物の価値が下がったのは事実ですから,その時点での資産価値の減少をとらえ,損害と評価するのが理論的だと思います。

そして資産価値の減少については,事故車でない車が事故に遭ったのであれば,額の多少はあれ常に認められるべきでしょう。
現在の車の使用状況として,壊れてゴミになるまで使用するというよりは,中古車市場に流通させて手放すことの方が多いという実感からも,自動車の資産としての側面を重視すべきでしょう。

突然の被害に見舞われた過失のない被害者が,自分の資産の資産価値を下げられることを受け入れよ,とする結果となるのはきわめて不合理です。