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小西 政広弁護士ブログ

不貞の慰謝料とは。

2016.01.18 [ 小西 政広 ]

ベッキーの不貞がかなり話題になっていますね。

だからどうなんだということで,

あまり話題にするような話でもないと思いますが,それに関連して質問されたので一言。


「ベッキーが奥さんに払うことになる慰謝料っていくらくらいなの?」
「あんなに稼いでるんだから結構払うんでしょ?」


これに対しては,日本の損害賠償の決まり方に関連するところがあります。

原則として,稼いでいることは,慰謝料の決定要素にはなりません。


日本の損害賠償は,あくまでも「損害」に着目し(差額説),「懲らしめる」(懲罰的損害賠償)ことは考慮要素にならないのです。

稼いでいることに着目して賠償額を決めてしまうということは,相手を懲らしめるということを考慮要素とする,ということにつながります。

ですから,日本の損害賠償の算出においては,「何年婚姻生活があったか」とか,「小さい子どもはいるか」とか,「結婚を機に仕事をやめたかどうか」,とか,婚姻関係が破綻するに当たって,被害を受ける側の被害の程度という観点からしか事実を捉えないのです。

もっとも,不貞相手が明らかに収入が高く,それが裁判所にも明らかになれば,「多少は」考慮されるかも知れません。

懲罰的損害賠償という制度は,アメリカでは採用されています。この方が市民感情に合うのでしょうね。

架空請求が裁判で認められる!?

2016.01.13 [ 小西 政広 ]

すぐに退会金を支払わないと,身辺調査,差押します,といった架空請求のメールが携帯電話にとどくことがあります。

もちろん私は弁護士ですし,身に覚えなど全くないので引っかかる気配はありませんが,

架空請求メールの対処法としては,無視するだけです。今や常識でしょう。

しかし最近は,「架空請求は無視するもの」という常識を利用して,裁判所の正式な手続を利用して架空請求を実現しようとする方法がちらほらでてきているようです。


裁判所を通じて届いた内容については,架空請求であると主張すれば,全く問題なく架空請求であることが認められるかと思いますが,無視することだけはいけません。


裁判所の手続を無視してしまうと,架空請求であっても,その内容が本当のこと,ということで確定してしまうのです。後からは原則として争えなくなります。

これは,お金のやりとりをする民事裁判が,基本的に内容の正しい正しくないという主張をするかどうかを,当事者の責任とする,という原則があるためです。


やや難しい話ですが,とにかく,裁判所からの手紙を無視してはいけません。

裁判所の名を騙るということもあるでしょうが,まずは,その差し出し元の裁判所があるかどうかインターネットで確認し,次に,その裁判所に電話して,通知の内容についてすぐに確認しましょう。

歩行者でも赤信号無視は許されない。

2016.01.06 [ 小西 政広 ]

歩行者が赤信号無視をして横断歩道上で車に轢かれた場合,交通弱者である歩行者は,どのくらい悪いとされてしまうのでしょうか。

この場合,歩行者の基本過失割合は70%となり,死傷の結果が生じたとしても,全損害の30%しか賠償してもらえません。

これって結構大変な話ですよね。

結果がどれほど重大であっても,その3割しか保障されないのです。

横断歩道付近,20メートルから,場合に寄っては50メートル程度横断歩道から離れた場所を断するときにも,同じ取扱いがされます。

もちろん,赤信号無視をする場合には事故に遭わないつもりで横断しているのでしょうが,一旦事故に遭うと,その補償の面でもとても後悔することとなります。

今年も一年ありがとうございました。

2015.12.30 [ 小西 政広 ]

2015年最後のブログとなるでしょう。

昨年は,確かふるさと納税の話をしていたかと思います。

しかし今年はその経験を生かせず,控除可能額が二倍になったにも拘わらず,今日までどこにもふるさと納税してないんです。逆になんか気が重い。

毎月計画的にやっていればよかった,と一年の最後に思うことは結構ありますね。

来年も同じ事をつぶやくかもしれません。

それではみなさん良いお年を。

ところで良いお年をっていうのは,残りの期間良いお年をお過ごしくださいという意味のようですね。

良い新年を迎えてくださいというのではなく。

ネットで調べただけなので,調査継続してみましょう。

それではみなさん良いお年をお過ごしください。

買換

2015.12.23 [ 小西 政広 ]

毎年この時期は,六法全書の買換の時期になります。

一冊5000円するのですが,事務所用と自宅用に1冊ずつ買います。

日常的に使う法令について,1年の間に法改正があることはほとんどないため,1年間で内容はほとんど変わりません。

判例付きの六法全書なので,この1年で出た新しい判例については,若干追加されているというところでしょうか。

ほとんど内容の変わらない物に毎年1万円払うのかと,ふと,一瞬だけ,悩むこともありますが,

これこそ弁護士の飯の種ですし,古い物を使って万が一法改正に気がつかないなんてことはあってはならないので,やはり毎年確実に買い換えます。

最近では,法律相談にPCを持ち込むことがほとんどなので,インターネットで最新法令を調べるというのもたしかに便利ですし,検索も容易だったりします。

しかしなお紙媒体の方がしっくりきますし,インターネットで法令を調べた際には条文毎に判例はついていませんので,やはり毎年確実に買い換えます。

はい。

事件の糸口が見えるタイミング

2015.12.16 [ 小西 政広 ]

事件の解決にはアイディアが必要だと日々感じています。

知識だけの活用,あるいは前例通りの進め方で十分に解決できるものももちろんあります。

そういう事件は,スピードが大切です。

しかし,アイディアを出さなければ良い解決にならない事件については,スピードが命取りとなったりもします。

例えば,解決してしまった後,アクションを起こしてしまった後に,手遅れとなる状況でもっとよい解決のアイディアを思いついてしまった,という場合が想定できます。

最近も,何とか出来ないかと考えながら生活していてふと思いついたことが,依頼者の方に大変有利に働く理論構成となりました。その事件については,スタートが不利と考えていたため,依頼者の方と相談し,じっくり時間をかけて進めるよう打ち合わせしていたものでした。

そのようなアイディアは,短い期間で,根詰めて,同じ時間をかけて考えても必ず浮かんでいたものとはいえないと思います。

期限もありますので,プロとしてその期間内で最良のアイディアを出さなければいけないということもあります。

ですが,時間に余裕をもつということで,結果においてよりよいものとできることがある,ということは,お伝えしたいところです。

仕事が遅いだけなんじゃないかという声が聞こえてきそうですが・・・

B型肝炎訴訟の訴訟準備について

2015.12.09 [ 小西 政広 ]

B型肝炎訴訟の相談がかなり増えてきています。

集団予防接種によりB型肝炎ウィルスに持続感染した方が国から損害賠償金を受け取るためには,訴訟・裁判をしなければならないとされています。

この裁判をする期限が,現時点で平成29年1月12日までと定められています。

注意が必要なのが,この期限というのが,この日までに弁護士に相談すれば何とかなるというものではない,ということです。

「集団予防接種によりB型肝炎ウィルスに持続感染した」

「そのB型肝炎ウィルスにより現在肝臓の病気になった」

この二つを証明するためには,通院していた病院のカルテが有効となるのですが,例えば,この病院のカルテについても,病院の側でコピーをしてもらうといった手続が必要となり,業務の都合もあって必ずすぐにやってもらえるとも限らないのです。

その他にも,資料を取得するために一定の時間がかかることがあります。

なんの資料も無く,急いで訴訟だけ提起してしまうという方法もありますが,後で資料を見てみたら該当しないことがわかるという事態も想定でき,その場合には裁判費用が無駄になってしまいます。

少しでも気になる方は,早めの相談をお勧めします。

LINEを始めました

2015.12.02 [ 小西 政広 ]

IDをのっとられたとかよく聞くので,あまり気乗りしていませんでしたが,あまりに連絡用にLINEを使おうとする方が多いので,仕方なくやってみました。

すると,スタンプをたくさん買ってしまいました。

なぜか,スタンプでばかり会話をしてしまいます。

なんかこんなことばかりしていると,言葉の能力が落ちてしまうような気がします。

これだけLINEが流行しているところからすると,

人は常に文書で他人とのコミュニケーションをとることに少なからない障壁を感じていて,少しでも簡便に自分の気持ちを伝えられる文書を望んでいるということがいえるでしょうか。

いえないですか。

言葉にしなくても思考と感情をそのまま伝えられるツールができたら,やっぱりはやるんですかね。

母国で死刑になる可能性があるから強制送還は違法

2015.11.28 [ 小西 政広 ]

http://mainichi.jp/select/news/20151128k0000m040154000c.html

本件は,在留特別許可がされるべきかどうか,ということが争点かと思いますが,在留特別許可をするかどうかについては,法務省のガイドラインがあります。

在留特別許可に係るガイドライン

母国で死刑になる可能性が高いこと,は特に在留特別許可をする要素として明記されていませんが,

その他人道的配慮を必要とするなど特別な事情があること

でしょうか。

母国の治安が非常に悪いとか,母国の法に基づかずに遺族などにより慣習として私刑が下される可能性が高いということであれば,「人道的配慮」に馴染むかと思いますが,本件では,母国で再び起訴され,法に基づいて死刑になる,ということを,日本として,人道的に配慮すべきだということになっています。日本が死刑を採用していないということであれば,より理解しやすいところですけどね。

結果として生命に危険が及ぶということに変わりはないので,結論は支持します。

司法試験と暗記

2015.11.24 [ 小西 政広 ]

司法試験についての話題になると,よく,あんな分厚い六法全書全部覚えるんでしょ?

といわれることがありますが,あんなの覚えられません。

では暗記が必要ないかというと,もちろんある程度は必要になります。

この「ある程度」は,人によって異なります。

司法試験の勉強を始めた頃によく言われていたのは,

条文は覚えなくてもよい,六法全書を開いて,該当しそうな条文を探すことができればよい

ということです。試験中に六法を参照することはできます。

しかし最終的には,これでは足りないと思いました。

特に民法については,全部で1044条あり,途中枝番もあり,複数項があったりするので条項数はもっと多いのですが,これを暗記するようにしていました。

必要な情報はまず観念して選別をせずに暗記してしまうと,その知識を前提として,思考のスピードがとても速くなったというのが実感としてあります。暗記だけで終わってしまってはだめです。

人によって司法試験へのアプローチはいろいろあると思いますが,司法試験に限らず,受験生には,「観念して暗記する」という方法もお勧めしたいところです。

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