2009.09.23 [ 齋藤 健太郎 ]

 私は、ロースクールの授業を受けた一期生です。
 ロースクール自体に、法律相談の授業を北大で受けましたが(ローヤリングクリニック)、その際に、「受容・共感・傾聴」という言葉を覚えました。
 弁護士の仕事は、人の話を聞くことがとても重要です。よく話を聞いて、共感する力というのがとても問われています。それをこの言葉は表現していると思います。そのような共感力がなければ、一生懸命がんばる気持ちにはなれません。
 自分では経験していない苦しみを少しでも理解しようという努力が必要だと思っています。実際には、同じように感じることはできず、「先生にはわからないですよ」と言われると言い返す言葉もありませんが・・・。
 でも、あまり話される方のおっしゃることをそのまま聞き続けていても、時間には限りがありますし、かえって重要なことを聞き逃すこともあります。そのバランスがとても難しいです。ある程度は話をリードしつつも、共感を示せる弁護士を目指したいと思っています。

 弁護士の話の聞き方で、出てくる事実は全く違います。
 相談される方は、法律的に重要な事実を理解して話す訳ではないからです。よく、「なんでそんな大事なことを最初からいってくれなかったの?」という場面に遭遇します。自分の力不足を最も感じる瞬間です。

  「サルでもできる弁護士業」という本で、弁護士が聞き取りに時間をかけ過ぎだということや、弁護士資格のない人が事前に聞き取りをすべきだと言う話がなさ れていたと思いますが、そんな方法では、相談者に共感することも重要な事実を聞き出すことも出来ないのではないかと思います。業務の効率化では片付けられ ない側面が弁護士業務にはあるのではないでしょうか。