2013.04.08 [ 齋藤 健太郎 ]

昨年末に和解により解決した交通事故の事案についてご報告させて頂きます。

依頼者の方は,事故後に,首と腰にかなり強い症状を訴えており,長期間の通院をされていました。また,それだけではなく,眼の運動異常も生じており,日常生活に大変不都合を感じておられました。

自賠責に後遺障害の申請をして,その結果,14級に該当するとされ,75万円を受領しました。
そして,保険会社からの賠償の提案は,14級を前提として,約160万円を支払うというものでしたが,実際の被害状況からは到底納得がいくものではありませんでした。

その後,首で12級,腰で12級で併合11級として訴えを提起しました。
相手からは,14級相当とする医師の意見書などが出されましたが,裁判官に,その意見書を踏まえても11級が相当であるということを理解してもらい,700万円で和解することが出来ました。過失相殺やその他素因減額などがあったために,若干金額は下がりましたが,依頼者の方にとっては望ましい解決だったのではないかと思います。

自賠責の後遺障害認定は,経年変性がある患者さんに,それを原因として強い神経症状が出ている場合には,12級としては認定しない傾向があります。その場合には異議申立などをしても認められる可能性はかなり低いです。
しかし,MRI上も確認できる器質的原因によって,事故前になかった症状が事故後に生じたのであれば,14級とは出来ないはずです。今回の例は,そのような事例の場合,裁判手続の方が,より適切な解決が出来る場合があることを示す好例といえます。