2014.03.30 [ 齋藤 健太郎 ]

先日、夫婦別姓の選択権がないことが,女性に姓を変えることを強要するもので憲法違反だとして,慰謝料を請求する裁判の判決がありました。
第1審の判決は,国が法律を変えないことは違法ではないとして,慰謝料請求を認めませんでしたが,その控訴審の判決です。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140328-OYT1T00507.htm?from=tw

控訴審の判決では夫婦同姓は家族の一体感を確保する目的であり正当性があるとしたうえで現時点では別姓を名乗る権利は認められていないとして請求を退けたとのことです。

法律を変えないことが違法になるためには,単に法律が憲法違反かどうかというだけではなく,明らかに憲法違反であるレベルまで達していなければなりません。その意味では,この戦い方をする以上,ハードルはとても厳しいものであり,簡単には勝てません。結論としては,それなりの理由もあるので,明らかに憲法に反する規定ではないということになるのでしょう。ニュースでは,その付近の解説が十分なされていないように思われます。

ところで,夫婦が同じ姓にならなければいけない理由ってなんなのでしょうか。
これは当然のことのようにみえてそうではありません。法律上の夫婦が異なる姓を名乗るということは他の国では認められているので,同じように夫婦別姓を取ることは難しいことではないはずです。

本件の原告は事実婚の夫婦ということのようです。
事実婚の場合には,当然に姓が違いますが,夫婦や家族の実態は,姓が同じ夫婦と何も変わらないはずです。
判決では,一体感の確保が目的とされたようですが,姓が異なるとしても家族としての一体感はあるはずです。家族の一体感を高めるのは「おんなじ名前だねー」ということではなく、共に生活し共に語らい苦難を分かち合うことでしかないてしょう。

私自身が,結婚する女性の姓に変えなければならないと言われた場合どう思うかを考えてみました。
まず一番先に考えたのは,両親のことです。
親は私のことを跡取り息子と思っているのかもしれない(継ぐようなものは何もありませんが),それを裏切ってしまうのではないだろうか。お墓はどうなるのだろう・・・姓が違っても入れるようだが,「齋藤家」の墓なのに姓が違うのもなんだかおかしい気もする・・・。

そのようなことを考えると,やはり姓を変えられない事情のある女性も沢山いるはずですし,互いに姓を変えるのが難しいという理由だけで婚姻ができないというのも辛いことだと思います。

まずは,女性が男性側の姓に変えるのが当然だという考えから変えていかないといけないのかもしれませんね。