2014.04.21 [ 齋藤 健太郎 ]

先日,高次脳機能障害などで2級の後遺障害が残った方の交通事故の裁判で和解をしました。
事故からすでに3年半以上が経過していました。

振り返ってみると色々なことがありました。
当初は,ご自宅で住まわれることは考えていなかったのですが,病状が安定してきてから娘さんの家族と同居することになりました。しかし,そのままではご本人を受け入れることはできないため,自宅の改造を行うこととし,自賠責の被害者請求という手続により得た保険金を利用して支払をしました。また,相手の保険会社と交渉をし,訴えを起こす前に,改造費用について一定の支払を受けることもできました。

また,自賠責の認定による後遺障害等級は2級でしたが,「随時」介護という状態ではなく,「常時」介護が相当であり,1級相当であると考えられたため,その点も争うことになりました。
結果として,裁判では裁判官に理解してもらうことができ,自賠責の認定した2級相当ではなく,1級相当であることを前提とした和解案の提示を受けることができました。

最終的には,当方の主張が概ね認められたうえに,遅延損害金と弁護士費用についても加えた金額での和解をすることができましたので,依頼者の方にもご納得頂けたのではないかと考えております。

しかし,この事件を通して感じさせられたのは,交通事故により被害を受けた方が元の生活に戻ることはもうできないという厳しい現実です。温泉旅行に行くことが楽しみだった方でしたが,今では一人で外出することもできません。せめて,十分な補償を受けて,前の生活にわずかでも近づけられるようにすることが私たちの仕事なのだと思います。