2014.04.24 [ 齋藤 健太郎 ]

皆さんもご存じのとおり,犯罪の嫌疑をかけられると,まず「逮捕」されます。

しかし,逮捕されない事件もたくさんあり,交通事故とか暴行事件とかは,逮捕されずにそのまま刑事事件となることが多いですね。
でも,実は,酒気帯びのような犯罪でも逮捕されることがあるので注意が必要です。
何度も呼ばれているのに行かなかったり,逃げる可能性,証拠を隠したり壊したりする可能性などがあると逮捕されてしまうこともあります。

日本の刑事事件のシステムでは,逮捕の請求がなされるとほぼ全件で裁判官が逮捕を認めます。
そして,その次に「勾留」(こうりゅう)という身柄を拘束する手続に進みますが,この手続でもほとんどが認められてしまいます。裁判官が検察官の勾留の請求に対して,判断をするのですが,この手続を揶揄して,自動販売機のようだとか,ベルトコンベアー式だなどと言う人もいます。
勾留をされてしまうと,原則10日間は外に出られないので,被疑者はとても大きなダメージを受けますし,場合によってはさらに10日間身柄が拘束されてしまいます。

弁護士として刑事事件の活動をしていると,日本の刑事司法のおかしさを本当に実感します。
このまま身柄を拘束されてしまうと仕事を辞めなくてはならない人や,すでに証拠が十分に集められていて,これ以上捜査が必要とは思えないような場合でも,意外と簡単に「勾留」がされてしまうのです。
そして,身柄拘束が続けられることによる不利益があまりに大きいため,本当はやっていない事件でも,自白をしてしまうというシステムです。これを「人質司法」などと言ったりします。
この自白を得るために,わざわざ身柄を拘束したのではないかと思われる事件も多数存在しています。身柄拘束することによって自白をさせるなどという考えはもうやめるべきです。
日本では,弁護人が取り調べに立ち会うことすら許されませんが,私にはそれは自白をさせるためだとしか考えられません。
国連の拷問禁止委員会というところでも,日本の刑事司法は大きな問題があると指摘されています。

今回,私が担当した刑事事件では,検察官の勾留請求を裁判官に却下してもらいました。
出られないと仕事がままならないという方だったので,一安心しました。
私の仕事は,現在の状況を十分に聴き取りして,意見書を作成し,検察官と交渉し,裁判官に面談をして却下を求めるというもので,たいていは時間との勝負です。
これからも諦めないで,この刑事司法のシステムと戦っていきたいと思います。