2014.05.27 [ 齋藤 健太郎 ]
トップページ > 弁護士BLOG > 齋藤 健太郎弁護士 > 齋藤 健太郎: 2014年5月
2014.05.27 [ 齋藤 健太郎 ]
2014.05.20 [ 齋藤 健太郎 ]
2014.05.19 [ 齋藤 健太郎 ]
2014.05.13 [ 齋藤 健太郎 ]
数ヶ月前になりますが,裁判上の和解により一件の医療事故を解決しました。
この事件は,知り合いの弁護士から一緒にやろうと言われて担当したものです。
私が担当した後,再度事案を全て検討し直し,複数の医師に面談をして,新たな問題点を設定し争ったという事案でした。内科と整形外科がオーバーラップする事案だったため,整形外科医と内科医の双方に意見を聞きました。その結果,より良い解決に繋がったのではないかと自負しています。
このように,新たな観点から再度整理し,深く考えていくという作業はとても興味深く,やり甲斐があります。医師が実は気がついているけれども隠していることがあったり,または担当した医師がレベルの低さからそもそも全く気がついていない事もあり,それを見通さずに検討することがとても重要です。
話は少し変わりますが,私の場合には,医療事件を他の弁護士と一緒にやることがとても多いです。札幌医療事故問題研究会という私が所属する団体経由で依頼を受けた事件については,主担当と副担当という複数で受任していますし,私が医療事件を多く扱っているということを知っている先生から誘われることもあります。医療事件をほとんど扱わない弁護士の場合には,医師のネットワークがなかったり,医療訴訟自体になれていないこともありますし,そもそも医療事件の性質上,一人でやるのではなく複数で担当し,協議しながら進める方が良い場合もあるということだと思います。
2014.05.13 [ 齋藤 健太郎 ]
皆さんもご存じのように,漫画『美味しんぼ』において,福島にいると鼻血が頻繁に出るという描写をしたことが問題になっています。
いろいろな考え方があるので,どの考えがおかしいというつもりはありませんが,なぜここまで一人の人間の作品を叩かなければならないのか疑問を感じています。
私は,仮にそれが実は放射性物質の影響とは無関係だったとしても,自らの体験に基づいてそのような事象があると訴える人達がいて,作者がそれを漫画に表現することについては,これも一つの表現として許容されても良いと考えています。それを題材に議論をすることは素晴らしいことですが,大臣が不快感を示す意味がよくわかりません。個人的な不快感であれば言わずとも良いですし,国家として一作品に不快感を示すのであれば言論弾圧です。
私は,最初この話を聞いたときに,作者は被爆のことについて無知なのではないか,何も知らずに書いたのではないかと考えました。でも,よく考えれば,本当に科学は被爆について全てを解き明かしているのでしょうか。低線量だから安全というのも長期間の実験がなされたわけでもないでしょうし,後から影響が出るかもしれません。科学的に正しいと思われていたことが長期間経った後に根拠のないものであったことが判明したりすることも十分にあるのです。多くの御用学者が原発は絶対に安全と言っていたことを忘れてはならないでしょう。実は鼻血にも根拠があるかもしれませんし,「そんなことはあり得ない」という人の方が私は信用できません。我々は,常に目の前にある事実に対して謙虚にならねばならないと思います。
ついでに言えば「風評被害」という言葉ももう止めた方が良いと思います。放射線による影響というものは完全に解明されているわけではなく,果たして被害があるかないかがわからないから怖いのです。自分の子供達に何かあったらどうしようと思うから怖いのです。「風評」に過ぎないのかどうかなんて誰にもわかりません。
問題は,原子力発電所というコントロール不能な危険物を設置したツケを福島の人達だけが背負っているということであり,それを何もなかったかのように元に戻すことはかえって問題を隠していくことになるのではないでしょうか。
今日は,泊原発廃炉訴訟の期日があります。私は訴え提起のときから,弁護団の一人として活動をしてきました。電気のために,便利さのために,経済のために,あのような悲惨な事故を再び起こしても構わないという考えは私には理解できません。
2014.05.06 [ 齋藤 健太郎 ]
2014.05.05 [ 齋藤 健太郎 ]
先日,以下のようなニュースを目にしました。
________
日本医療機能評価機構によると、平成25年に医療機関から報告があった医療事故は前年比167件増の3049件で、年単位の集計を始めた17年以降で初めて3千件を超え、最多を更新した。
全体のうち、医療法に基づき報告が義務付けられている大学病院や国立病院機構の病院などから2708件の事例が寄せられた。うち216件(8%)で患者が死亡し、障害が残る可能性が高いケースは263件(9・7%)だった。いずれも事故との因果関係は不明という。
________
この事例は,あくまで医療機関が事故だと考えたうえで,日本医療機能評価機構というところに報告された事例です。平成25年の1年間で3049件ということになると,1日8.3件以上事故が起きているということになりますが,あくまで報告義務がある一部の病院から,報告された事例がほとんどのようですから,実際にはもっと多いということになるでしょう。
このニュースをみて,「医療事故が増えているから,医者が地方から撤退しているんだ」とか「産婦人科医が減っているんだ」というように反応する人もいるかもしれませんが,大きな誤りです。
これはあくまで病院が報告したものを意味しているので,紛争になっているか否かは問題にしていません。そもそも,地方からの撤退は,医局制度というものの崩壊によるところが大きく,産婦人科医の問題も訴訟リスクが生じやすいという本質的問題はあるもののそれが原因とは言い難いです。なぜなら統計上,医療裁判の数は明らかに減っているからです。
毎日多数の医療事故が生じていることは事実なのです。そして,その中には医師のミスによって生じたものもあるでしょうし,それによって死亡したり,後遺症を残した事例も多数あります。
問題は,患者さんが医療事故だと気がつくという第一の壁を乗り越えなければならないとういことです。医師の説明によって,何の問題もないと言われてそれを信じれば,事故は事故ではなくなってしまいます。専門家に言われるとそうなのかな・・・と思ってしまうものです。まず疑問を持ったら相談をすることが大切です。
次に,事故だと思っても問題にしなければ医療事故としては扱われません。医者の説明に納得した,誠意を感じたという理由なら良いのですが,中には「医療事故は勝てない」という一般論のみから諦める方も多数いるように感じます。その結果,解剖もせず,後から後悔をするということにもなります。
医療事故の勝訴率は確かに一般の事件よりは高くありません。
しかし,多くの医療事故は,裁判の前に解決するか,裁判中に和解によって終わっているのが現状であり,判決までいくことは少ないのです。判決まで行く場合だけを見れば勝てないと感じてしまうかもしれませんが,それは錯覚です。
医療事故が増加しているわけではありません。あくまでちゃんと報告される事例が増えたということだと思います。そして,次に大切なのは,その事件を他の病院にも周知したうえで,適切な賠償を受けるべき人が受けるということです。ただ報告される医療事故が増えても,次を防げなければ意味がありませんし,補償を抜きに考えることは許されません。
| 1 |
最近の記事
月別の記事
弁護士一覧