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齋藤 健太郎弁護士ブログ

男はなぜ筋トレをするのか

2014.07.28 [ 齋藤 健太郎 ]

うちの小西弁護士が週に1回ジムに通っていて,だんだんと筋肉がついてきたと自慢してきます。
実際には,その筋肉の上に柔らかい脂肪がついているのでそれをまずは落としてみてはどうかと進めているのですが,「自分は痩せることはできない。痩せるのはできないが筋肉をつければいいんだ」の一点張りで,聞く耳を持ちません。

男がどうして筋肉をつけたいのかを考えてみましょう。
1 女性に筋肉をつけた姿を見せてモテたい。
 これはそれなりにあるのではないでしょうか。少なくともひ弱に見られたくないというのはあると思います。
 しかし,実際にはボディビルダーみたいな筋肉男を好きな女性というのは少なく,いわゆるソフトマッチョといわれる部類が一番モテるのではないでしょうか。そしてソフトマッチョを実現するには筋肉をつけるよりも皮下脂肪を減らすことが重要だと思います。
2 自分が筋肉がついていく姿を見て興奮する。
 これもありありですね。なぜか知りませんが,男は自分の身体に筋肉がついている姿を見るとなんともいえない恍惚感を感じるようです。しかし,武士でも軍人でもない我々には筋肉はほどほどあれば十分です。実際には筋肉があったから出世するわけでもセレブになるわけでもありません。ハリウッド俳優は別でしょうが。
3 健康のため
 ターザンとかいう雑誌では,筋肉をつけることが不可欠であるかのように扱われていますが,やっぱり筋肉がないと不健康なのでしょうか?ダイエットのための筋トレというのはあるかもしれませんが,重力に逆らうことができればとりあえず十分な気もします。

女性の場合だと,筋トレをするのはダイエットのためとか冷え性解消のためという理由が多いのではないでしょうか。
筋肉をつけた姿を人に見せたいからとか,筋肉がついた自分を見ていて興奮するからという理由ではありませんよね。
まあボディビルダーには女性もいるのでそういう方もいるのかもしれませんが。
英語で筋肉のことをmuscleといいますが,musculineという言葉は男性的なとか男らしいという意味になります。
アバクロという服のブランドでも,男性ものは「muscle」となっていますね(アバクロについては,過去ブログ参照。4年前には私もナイスバディに近づけるために運動を始めるなどと宣言していたようです)

男と筋肉の関係はなんだか深そうです。
小西弁護士に会ったら筋肉を褒めてあげてください。

ロースクール時代といわれる日がくるのか

2014.07.28 [ 齋藤 健太郎 ]

ロースクールを志望する人が減っているというニュースを良く目にするようになりました。

私は,ロースクールの1期生で,約10年前にロースクールの1年生として北大に通っていました。
私にとってのロースクールは,共に勉強する仲間と優れた教師がいて,議論をして徹底的に考え抜くという訓練をさせてもらった場所でした。一人で机に向かうだけでは得られないことが沢山あったと思います。

しかし,今ではロースクール廃止論も強く,「予備試験」というロースクールを卒業しなくても司法試験を受けられるという試験が人気になりつつあるようです。

土曜日に北大ロースクールで共に勉強した弁護士の結婚式がありました。
そこで久しぶりに同期の弁護士と会い,思い出話をしました。その頃の自分を思い出すと本当に勉強ばかりでしたが,同じ状況で同じ思いで過ごす人達がいなければそこまで頑張れなかったかもしれません。
ちなみに,私が実は弁護士になってはいるもののまだ試験があってそれに受からないと資格を失ってしまうという夢を見るという話をすると,かなりの人が同じ夢を見ると言っていました。うなされて目が覚めたときに,本当は試験がないことを確認したときのあの安堵感・・・。

私としては,北大ロースクールには感謝していますし,そこで共に過ごした仲間も貴重な存在です。
ロースクールがより優れた制度として存続することを望みます。

トトロの巨大人形

2014.07.28 [ 齋藤 健太郎 ]

最近,YouTubeで,おじいさんがお孫さんのために,巨大なトトロの人形(人ではないが)を作った過程を公開したビデオを目にしました。
日曜大工歴52年のうどん屋さんが,あの有名な猫バスを待つシーンの傘を差したトトロを作り上げるというすごいものでした。サイズも実際のトトロにかなり近いもので,その熱意たるや並大抵のものではありません。

正直,出来映えも素晴らしく,素人がここまで出来るということに感動いたしました。
国道沿いに設置しているため,写真撮影をされる方もいらっしゃるようです。

しかし,ここまでやるとやはり著作権法違反です。スタジオジブリの許諾を得ているとは思えません。
そして動画の最後に「みんなもやってみてね!!」のテロップ・・・。

著作権法では,複製とか翻案などということが禁止されています。
一方で,私的使用というものがあり,「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とするとき」には,複製したりすることが認められているのです。
たとえばいわゆる「キャラ弁」(そっくりなやつですよ・・・原型をとどめないものはそれ以前の問題)をお母さんがお子さんのために作ったとしても,それは私的複製ということになって適法でしょう。

しかし,気をつけなければならないのは,「公衆送信」といってネット上にアップする場合には,違法になってしまうということです。
巨大なトトロは複製ないし翻案ということについても私的使用には当たらずに許されませんし,YouTubeで公開しているということについても問題ですね。

北大で高齢者虐待に関する講義をしてきました。

2014.07.22 [ 齋藤 健太郎 ]

先週,北海道大学の法学部の2年生向けの講義の講師をしてきました。
前にもロースクール生向けには何度か講義をしたことはありますが,法学部生向けの講義は初めてでした。

テーマは,高齢者・障害者に関する問題ということでしたので,「高齢者虐待における弁護士の役割」というテーマにしました。

高齢者虐待防止法(略称です。正式には例の如くもっと長いです)という法律がどのような法律であり,虐待を受けている高齢者を救うためにどのような制度を用意しているのか,そして,虐待をしてしまう側をどのように支援していくのかということを中心にお話しました。

弁護士というと裁判のイメージが強いですが,実際には,裁判以外にも相談を受けたりアドバイスをするという仕事が結構あります。
高齢者虐待においては,私の所属している高齢者・障がい者支援委員会経由で,区役所からの相談を受けたり,つながりのある地域包括支援センターからの相談を受けることがあります。また,役所においてケース会議というものが開かれますが,弁護士がその会議に参加して,法的な見地からのアドバイスをするということが行われています。

先週は,その講義の翌日に,地域包括支援センターの方々との勉強会もさせて頂きました。
これまた大変勉強になりました。

簡単ではありませんが,これからも専門的知識を得て経験を積み,少しでも虐待の解消に役立ちたいと思っています。

DNA鑑定の功罪(2)

2014.07.22 [ 齋藤 健太郎 ]

前に「DNA鑑定の功罪」というテーマで記事を書きました。

そのときは,DNA鑑定のせいで今までわからなかった血縁関係が明らかになってしまうことの問題点について触れましたが,今回もその話をしたいと思います。

先日,最高裁判例がありました。DNA鑑定によって血のつながりのないことが判明した「父親」であっても,法律上は父親であり,例外は許さないというものです。
「嫡出推定」という規定がある以上(前のブログ参照),それを優先するというものです。

さて,変なことになってしまいました。
この四角四面のいかにも「法律」という感じの判決によって,世の中には,自他共に血のつながりの全くないことが判明している「父親」が存在することになりました。一方で,本当の父親はどうやっても法律上の父親になれないということになります(例外はありますが)。

たしかに,民法は,本当の父親じゃない場合があることを想定していました。でも,それは,本当の父親かどうかなんて調べようがないということが当然の前提になっていたのではないでしょうか。本当の父親がほぼ100%わかってしまうことは民法の想定していたものではないはずです。
父親というのは養子を除いて血縁関係にあるものを指しているのではなかったのでしょうか?

そもそも,繰り返し言われる「法的安定性」というのはいったい何でしょうか?
父親じゃないことがわかってしまった時点で,親にとっても子供にとっても,法律上父親かどうかはもはやどうでもいいことになってしまうのではないでしょうか?
法的安定性は,すでにDNA鑑定の存在によって害されてしまっているのです。
疑いを持たないようにするか,DNA鑑定の実施に制限をかけることができない限り,もはや歯止めはききません。
私には守るべきものがあるようには思えません。

私は,法は真実に謙虚であるべきではないかと思います。
新たな法律を作ることで解決すべきだというのも一つの考えだと思いますが,判明している真実との乖離がある場合に真実に即した解決を行わないことは法の自殺行為ではないかと思います。

成年後見業務における身上監護の研修

2014.07.19 [ 齋藤 健太郎 ]

先日,私が幹事を務める「札幌弁護士会遺言・相続研究会」の研修がありました。
この研究会では,定期的に遺言や相続について研修を開催しています。

研修では,成年後見業務における身上監護のポイントについて,成年後見業務を多数経験されている社会福祉士の先生にご講演頂きました。

能力が衰えてしまい,財産管理などができなくなった場合には,親族などが申立をして,成年後見人という人がつくという制度があります。その場合,成年後見人は財産を管理していればそれで良いというものではありません。本人のより良い生活や環境を整えるためにどうすれば良いのかを考えていくのもまた成年後見人の仕事です。
それを身上監護という言葉で表現しています。

しかし,これがなかなか難しい。
弁護士は法律のプロですが,介護,医療などの福祉分野については全ての弁護士が詳しいわけではありません。
また,福祉関係者とのネットワークを十分に有しているわけでもありません。

そこでこのような研修をして,介護・福祉なども十分に理解していくことがとても大切なのです。
私も現在成年後見人として業務を行っている事案が複数ありますが,少しでもその事案に生かしていければと思います。

スーパー○○○富永愛

2014.07.15 [ 齋藤 健太郎 ]

富永愛さんに会いました。

しかし,スーパーモデルではなくて,同姓同名の弁護士であり現役のドクターです。
スーパー弁護士というところでしょうか。

富永愛先生は,一度弁護士になった後,医大に入学し,その後,弁護士に復帰した異例の経歴の方です。
乳腺外科の現役の医師としてご活躍されながら,弁護士業務もされております。

私の所属する札幌医療事故問題研究会でお招きして,ご講演頂きました。

今日学んだことは,現在では,乳がんの手術時ないし手術後に乳房の再建手術を行うことが可能となっているということでしょう。
今までは,乳房を出来るだけ温存することを重視してきたようですが,むしろ全部切除してから再建する方がキレイになるということがあるようです。体の他の場所から組織を持ってきたり,脂肪を入れたり,シリコンを入れたりするようです。シリコンによる再建は,一部,保険が使えるようになったとのことでした。

事件として扱う場合には色々と勉強するのは当然ですが,日頃から広く色々な医療の話に触れるのはとても重要だなと再認識した日でした。

ブログが思うように書けないときに思うこと(2)

2014.07.08 [ 齋藤 健太郎 ]

まさか本当にあると思った方は少ないでしょう。
このシリーズは,(1)と書いたことから,(2)があると期待しつつ,どうせ(1)で終わるのだろうと思っていたに違いありません。
しかし,奇跡的にシリーズ化に成功しました。

私のブログは,一体誰が読んでいるのでしょうか。
今日はそれを考えてみたいと思います。

1 依頼者の方
 なかには齋藤健太郎が大好きというファンの方もいらっしゃるかもしれません。そのような方が他の二人のブログは読まずに私のブログだけを読んでいる可能性があります。
2 友人
 私の数少ない友人には,とても暇な人がいます。そのような暇な友人が,やることがなくて「齋藤のブログでもみるか・・・」と私のブログを読んでいる可能性があります。
3 ライバル
 私のような優れた弁護士になると,自然と敵が多くなるものです。「己を知り敵を知らば・・・」ということで,私を研究するためにブログを読んでいる方も相当の数いらっしゃるのではないでしょうか。
4 相談しようと思っている方
 私に相談を予定しているが,どういう人間かわからなくて不安・・・という方もいらっしゃることでしょう。そんなときにこのくだらないブログをみて,予想外の敷居の低さに安心されるということも考えられます。
5 フェイスブックの読者など
 このブログは「いいね!」を押すことでフェイスブックに投稿されます。間違って「いいね!」を押した方のお友達などが,間違って読んでしまうこともあるかもしれません。

さて,午前2時30分を回ったのでそろそろ寝ることとします。

原発と戦争

2014.07.08 [ 齋藤 健太郎 ]

原発と戦争には共通点があるといつも思う。

原発も戦争も経済と深いつながりがある。

原発も戦争もそれで儲かる人間がいる。

原発も戦争も命が失われる。

そして,原発も戦争も始めた人は責任を負わない。

経済が駄目になる?
別にいいじゃないか。
なんで住む場所と健康を危険にさらしてまで電気を得なければならないのか。
本気で言っているとは思えなかったが,かつて多くの戦争(全て?)が利権のために行われたことを考えて,実はこの人達は本気なんだと気づく。
金のために命と子供の将来を犠牲にすることは誤りなのだということを言い続けても,この人達には届かない。
ピュアな人は戦争が自分達を守るために必要だと本気で信じている。
世の中には自分の子供が被爆したり戦争で死んで初めてその悲しみの深さと誤りに気がつく人がいるんだから仕方ない。
目の前で原発がメルトダウンして,放射性物質をまき散らしても,まだ安全に出来ると言う人達には何を言っても通じないのかもしれない。

医療事故の和解と口外禁止条項

2014.07.06 [ 齋藤 健太郎 ]

Aさんは,医療事故で大きな被害を受けました。
その後,齋藤健太郎弁護士に相談したところ,「医師に責任がある可能性があります。調査してみてはどうでしょうか」といわれました。そこで,弁護士に依頼し,まずは,証拠保全手続によって,記録を入手しました。

その記録をもとに,齋藤健太郎弁護士は,いろいろな医者に話を聞いたところ,「これは医師に責任がありますね」「通常はこのような治療はしません」「後遺症は残らなかった可能性が高いといえます」などという回答を得ました。慎重な検討を繰り返した結果,医療機関に対して責任を追及する内容証明を作成し,送付することにしました。

しかし,それに対して医療機関は,自分達の責任がないとの回答をしてきました。
Aさんは,大きなショックを受けました。
Aさんが何より欲しかったのは,後遺症の原因が自分ではなく,医療行為にあること,そして医師に責任があることを医療機関が認めて謝罪をしてくれることでした。当然,補償という意味でのお金も必要ですが,前を向いて生きていくためにも,何が起きたのかを知りたいという気持ちがとても強くありました。
ところが,医療機関は,いとも簡単に責任がないとの回答をしてきたのです。その回答には,十分な説明はなく,訴えるなら訴えればいいとでもいわんばかりの内容でした。

そこで,Aさんは悩みながらも訴えを起こしました。
齋藤健太郎弁護士は,相手の医師の詭弁を追及し,たくさんの文献を出し,こちらの見解を示す医師の意見書を提出しました。
証人尋問でも,相手の医師を追い込んで,こちらの専門家の証言もしっかり裁判の場に出すことができました。

裁判の流れからは,Aさんの言っていることが正しいということが裁判官にも理解してもらえている感触がありました。

そこで,裁判所から和解による解決が打診されました。
Aさんは,すでに事故から2年が経過していることから,少し疲れていました。
また,裁判所の和解案が医療機関の責任を一定程度認めるものであれば,応じても良いのではないかという気持ちもありましたので,和解の話を進めることにしました。

裁判所からは,6000万円の和解案が出されました。
Aさんの失ったものを取り戻すには少なすぎましたが,Aさんとしては前向きな気持ちになれるのではないかと思えました。
しかし,Aさんとしては,一番欲しかった責任を認めて謝罪をしてもらうということが和解案にはありませんでした。そこで,齋藤健太郎弁護士にお願いして提案をしましたが,医療機関はそれには応じないといいます。
しかも,医療機関からは,本件に関することについて,「第三者に口外しない」という条項を入れない限り,和解しないといわれました。

Aさんは思いました。
これからも同じような人を出さないために,医療機関としてはこのことを公表すべきではないのか?
なぜこのようなことを起こしてしまったのかを検討し,再発を防止するためにも,公表して,他の医師などの意見を広く聞くべきではないのか?
でも,医療機関の考えることもわからないではありません。事故を起こした病院には誰も行きたくありませんし,それによって病院の評判が落ちてしまえば,やはりダメージになるということもわかります。

そこで,Aさんとしてはやむなく口外禁止条項を入れた和解をすることにしました。

さて,このAさんの事件はフィクションではありますが,医療事件における典型的な解決の流れといえます。
しかし,あくまでこの解決は妥協の産物でしかありません。
Aさんの願いや想いというものが本当に実現できたのでしょうか?
口外禁止条項を入れることが本当に正しいのでしょうか?

私としては,より良い医療というものに少しでも繋がることを考えて医療事件をやっているところがありますが,口外禁止条項が入ってしまうとそのことが公表されず,なかったことになってしまいます。
黙っててくれれば金を払うというやり方にはどうしても疑問を感じてしまいます。
無理は承知でいいますが,むしろ積極的に公表していくぐらいの対応をしてもらいたいと思います。

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