2014.07.06 [ 齋藤 健太郎 ]

世の中には「保険」というものがあふれています。
生命保険,火災保険,学資保険,車両保険など,たくさんの種類があります。
日本では,意外に保険の加入率というのは高いのではないでしょうか。むしろ,保険というのは入らなければならないものという感覚があるかもしれません。

保険はまさに「転ばぬ先の杖」であり,何かあったときの備えということになります。

保険の対象となるような事故は必ず起きることではないのに対して,相続というものは亡くなった後には必ず生じるものです。
そして,一定の割合で揉め事が生じます。また,実際にもらうべき人がもらえないという問題が生じてしまうこともあります。
そのようなことが起きる確率がどの程度かは,ある程度見通しも立てられますが,実際には亡くなってから初めてわかるということもあるでしょう。

そうであれば,自分の死後に問題を生じることを避けるために,ある程度の財産があれば,誰でも遺言は作成しておくべきだということになります。実際には,日付,氏名,全文を自分で書いたうえで,印鑑を押しさえすれば,費用もかからずに簡単に遺言を作成することができます。紙とペンがあればできるのです。

しかも,遺言を後で作ろうと考えていても,認知症や病気・事故による高次脳機能障害などになると,遺言を作成する能力がなくなってしまうこともあります。そうなると手遅れです。

私の知る限りでは,遺言を作成している人の割合はかなり低い状況にあります。
皆さん,まだ早い,自分は大丈夫,家族は仲良しだ,お金はあんまりないなどと考えているのかもしれませんが,残された人のことを思うのであれば,生命保険と同様に保険としての遺言を作成しておくのが望ましいでしょう。