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齋藤 健太郎弁護士ブログ

山川海というリスク

2014.09.30 [ 齋藤 健太郎 ]

生きるというのは本当に危険なことですね。

私の不安症については,一度少しだけ披露させて頂いたことがありましたが,エボラ出血熱,広島の土石流,御嶽山の噴火などをニュースで見ていると,恐ろしくて仕方がありません。

では,そのようなリスクをどのように避ければ良いのかを検証してみましょう。
1 まず山は絶対に行ってはいけません。山菜のために命を失うのは割に合いません。
遭難,噴火,雪崩,熊,イノシシ,狩猟の流れ弾に当たるなど恐ろしいことばかりです。
2 川にも近づいてはいけません。
増水,鉄砲水がありますし,当然泳いで溺れる可能性があるので,水に入るなんてもってのほかです。
3 海もダメ。説明不要。
4 道路を歩くときには,できるだけ歩道のある道路を選び,明るい服を着ましょう。夜は避けましょう。
5 自転車もバイクも禁止です。あんな無防備な乗り物はありません。

うーん。何も楽しいことができなくなります。
むしろ楽しくなさすぎて自殺のリスクが高まるかもしれませんね。
生きるのは難しいです。

ちなみに話しは変わりますが,川内原発の審査で,火山が予知できることを前提に審査が通ったが,専門家から批判があるというニュースを目にしました。御嶽山の噴火が予測できなかったのに,なぜ噴火が予測できるというのでしょうか。私のような不安症の人間からすれば,原発なんて狂気の沙汰です。

本物の涙

2014.09.29 [ 齋藤 健太郎 ]

友人の結婚式に出て不覚にも泣いてしまいました。
齢37歳にして人前でポロポロと涙を流すのはなんとも恥ずかしいものです。
なぜ泣いてしまったのかについては話せば長い話になりますので省略。

この年になってしかもこんな仕事をしてるとだんだんと心も歪んできて物事を素直に受け止められなくなります。
人の言葉をそのまま受け取れずに裏を読んでしまいがちです。褒められても,お世辞としか受け取れません。
そんな私も,実はドラマとか映画で簡単に泣いてしまいます。
こんな私がフィクションだとわかっていても泣いてしまうのは,どうしてなのでしょうか??
特に疲れているときほど泣いてしまう傾向にありますので,たぶん何か泣くことでストレスを解消したいのかもしれません。

結婚式は最近ではハワイで挙げる人とかもいますし昔ながらの式も減っているように思います。
どう考えてもキリスト教徒ではないのに教会式をやることの違和感とか、謎の外国人が出てきてへったくそな日本語でセレモニーを行うことの違和感はありますが、やはり結婚式というイベントは良いものですね。
いいんですよね,両親への手紙を読む時にあえて泣けるBGMが流れたとしても。
そこに娘から親への偽りのない感謝があればそれでいいんです。

偽りのない気持ちに触れて本物の涙を流す機会なんてそうそうあるものではありません。

勝手に切ってもいいですか

2014.09.23 [ 齋藤 健太郎 ]

たとえばバッグのひったくりにあった場合には,追いかけて取り戻すのは当然に許される行為です。
では,翌日に盗人がバッグを持っているのを発見した場合にはどうでしょうか。
これもある程度は追いかけて返還を求めることは許されるでしょうし,引っ張って取ろうとすることもOKでしょう。

もっとも,いずれの場合もその場で殴りつけて無理矢理奪い取ることはできるでしょうか。
それは基本的には違法になってしまうと思われます。

このような問題を「自力救済」の問題といいます。

他にも自力救済についてはいろいろな問題があります。
・違法駐車車両を勝手にレッカーしてもいいのか。
・部屋を貸している人が出ていかないから,扉の鍵を変えていいのか。モノを出してしまっていいのか。
などもよくある問題ですが,いずれも許されない自力救済となる可能性が高いのでやめましょう。

この社会は,法律の手続によって処理することが求められています。
権利というのは意外に窮屈なものです。

さて,隣の家の木が飛び出ている場合にはどうでしょうか。
勝手に切ってもいいのでしょうか。
この場合には,隣の土地の所有者の承諾がなければ切ってはいけません。

しかし,意外なことに,木の根がとなりに伸びてきている場合には,勝手に切って良いことになっています。
民法ではっきり認められています。
なんで枝とかはダメだけど根は良いのかよくわかりません。枝よりも根の方が樹木にとっての影響が大きい場合もあると思います。土地を掘削することよりも,枝が飛び出ていることの方が問題性が大きい気もしますね。

実は,顧問会社から,ソーラーパネルを設置する予定だが,隣地の木が飛び出ているが,所有者を発見することができないとの相談を受けています。このまま所有者と連絡が取れなければ,判決を取ることになります。枝を切るために,わざわざ判決をもらわないといけない場合もあるのです。非常に面倒ですが,これも法治国家だからこそなんです。

さて問題です。
私の書斎を妻がすぐに物置にしようとするのですが,これは勝手に搬出したら違法な自力救済でしょうか・・・。

畢竟(ひっきょう)

2014.09.22 [ 齋藤 健太郎 ]

弁護士の仕事は文章を書く仕事です。今も午前1時近くなりますが,必死に連絡書を作成していました。

法律家たるもの文章もある程度格調がなくてはなりません。
安易に顔文字を入れたり,「(笑)」や「!」を連発したりということは断じて避けねばなりません。
たとえば
「すぐに支払って下さい。困ってます (´д`)
支払わない場合には法的にやりますよ!!
まあ,そんなことまさかないとは思いますが・・・(笑)」
とかはダメですよね。

でも,逆に怖くて払ってしまうかもしれませんね。

そんな格調高い文章を書きたいあなたにお勧めの言葉が,「畢竟」です。
この畢竟という言葉は,最高裁判決を含めて判決文でよく使われます。
それ以外にも,「しかるに」とか,「蓋し(けだし)」とかもよく使われますが,はっきり言ってあえて使う意味はありません。やはり格調高い雰囲気を作りたいのだと思います。

調べてみると畢竟は,元は仏教用語のようで,意味は,最終的にとか,結局とかのようです。
畢竟,ようわからん。

別冊判例タイムズという名のバイブル

2014.09.15 [ 齋藤 健太郎 ]

知っている方も多いとは思いますが,交通事故の過失相殺については,この書籍がとても重視されています。
最近,久しぶりにこの本の改訂版が出ました。すでに5回目の改訂となり,とても分厚くなりました。今回からは,「歩行者と自転車の事故」や「駐車場内の事故」が追加され,ますます充実したということになります。
http://www.fujisan.co.jp/product/1281695978/b/1169424/

過去の裁判に照らして,多くの事故の類型が網羅されていて,大体,基本的な過失割合というものがわかります。
そこから,様々な事情を考慮して調整がなされていくので,それだけで決まるというわけではありませんが,保険会社もこの本を参考にしていますし,はっきりと「判例タイムズの〜番の事例で考えています」と言われることもあります。
実は,この書籍は東京地方裁判所の交通事故を担当している部が中心となって作成しています。

交通事故は毎日多数発生しています。そのような事故を適切に,そして公平に処理するという観点からは,このような基準がはっきりしていて,ある程度機械的な処理ができるのはとても大切なことだと思います。
しかし,一見似ているものの,事情が全く異なる場合というのがあり,その場合に無理矢理あてはめようとするとおかしなことになります。
また,どうしても基本過失において,被害者側がゼロじゃない場合には,交渉の結果,他の事情を考慮してゼロになるということはあまりありません。納得ができない場合には,どうしても裁判にしなければならなくなります。

とても便利なものですが,あくまで参考に過ぎないということを肝に銘じておかねばならないでしょう。

顔を見たこともないクライアント

2014.09.15 [ 齋藤 健太郎 ]

私は,医療事故の死亡事件を多数担当してきました。

交通事故にも死亡案件はありますが,件数としては多くありません。
医療事故ぐらい死亡事故を扱う事件もないと思います。

死亡事件は,亡くなられた方の配偶者の方(夫,妻)やお子さんが,損害賠償請求権を相続するので,私に事件を依頼するのはその相続人の方々となるのですが,一番無念な思いをされたのは,亡くなられ方ご本人です。
特に,医療記録を読み込んでいると,実際に亡くなられた方の発言などが,看護記録に詳しく記載されていたり,それが時には悲痛な叫びであったりすることもあります。

いつも,私は,想像力を膨らませて,実際に何が起きたのか,何を訴えていたのかなどを考えるのですが,その際に亡くなられたご本人のことを何年も考え続けていることに気がつきます。しかし,不思議なことにその方には一度もお会いしたこともないのです!!

顔も見たこともないクライアントと二人三脚で戦うという不思議な仕事です。

クアッドコア!買っちゃいました・・・。

2014.09.08 [ 齋藤 健太郎 ]

そんなことしていないで仕事してください!という声が方々から聞こえてきそうですが,衝動買いしてしまいました・・・。

IMG_3010.jpg

男のロマンです。
こんなドキドキしたの久しぶりかも。
私が子供の頃にはこんな値段(1万以下)で,空飛ぶラジコンが手に入るなんてことはなかったはずです。

稚拙な技術のため,全くコントロールできていませんが,1週間もすればどうにかなるでしょう。

あ,ちなみに,これは業務上の必要性から購入したものであって,決して趣味とかホビーとか娯楽とかではありません。
カメラもついているので,上空からの動画撮影など,証拠収集に不可欠なものです・・・。
たぶん・・・。

東京で医師の証人尋問をしてきました。

2014.09.02 [ 齋藤 健太郎 ]

先週,東京地裁で,所在尋問というものをしてきました。

本来,札幌地方裁判所の事件なので,札幌地裁で証人尋問を行います。でも,意見書を書いた医師(こちらの先生一人,相手の先生一人)がいずれも東京の方のために,裁判官(3人のうち2人)と代理人弁護士が一緒に東京まで行って,東京地裁を借りて証人尋問を行いました。

お医者さんのように多忙な方の場合には,わざわざ札幌地裁まで来てもらうということになると証人として立てないということもあります。裁判官も同様に多忙なのですが,事件のために必要ということであれば,わざわざその場所まで赴いて証人尋問を行ってくれるのです。

今回は2日にわたって行なったので東京に3日いることになりました。いつもであればこれを機に大学時代の友人と会ったりするのですが,やはり証人尋問前は準備がありますし,私は証人尋問前は酒を飲まないと決めているので会うのはやめました。
残念!!

学者と弁護士

2014.09.02 [ 齋藤 健太郎 ]

法律の分野では,法律学の先生という方々がおられます。
我々も,司法試験を合格するために勉強をしていた時代には,この学者の先生方の書いた書籍を読んだり,学者の先生から教わってきました。

しかし,学者と弁護士とは大きく違います。
学者は相手との交渉スキルとか不要です。
反対尋問もうまくなりません。
裁判官の腹を探りながら和解を進める経験も積めません。
事実を聴き取って事件を作り上げるということもありません。
事実関係の調査ということもほぼ不要です。
あげればキリがありませんが,全くの別物といってもいいと思います。

それをとてもわかりやすく説明しているものを見つけました。
加藤雅信先生という大先生が,突然弁護士になって,しかも一人で事件をこなすということをされた際のことを書かれたものです。この方の説が最高裁判例に受け入れられたという噂があるようなないようなすごい方です。
でも,突っ込みどころ満載です。

【ポイント】
1 若い弁護士を使わなくても事件が一人でできると思った理由は,訴状を作成する過程を目にしたことが何度もあるから
→ 訴状作るところで事件はスタートです。それからが大変だと思うのですが。
2 社長とともに東京地裁に訴状を提出に行った。
→ 普通一緒にいきません。というか弁護士が行きません。若い弁護士使わせなくてもいいので,事務員さんは使わせてあげては?
3 裁判所から連絡先を事務所にするか大学にするか聞かれる
→ 裁判所がそんなこと聞いてくれるのですか・・・?扱いが違い過ぎます。事務所に所属しているので事務所でいいに決まっています。
4 期日請書ってなんですか?
→ 知らなくて当然だと思いますが,できれば事務員さんに聞いて下さい。素直すぎます。
5 「先生のような方には「民訴94条2項の書面」と申し上げるべきところを「期日請書」と申しあげ,大変失礼しました」
→ 絶対謝るのおかしいでしょう。そんな条文言われてもむしろわからないです。相手の心配りに感謝されていますが,これって嫌みですよね。
6 「この次も、求釈明に対する釈明がないようであれば、私は、その後の準備書面には、『当方が「虚」であると主張したのに対し、求釈明に対する釈明が依然なされていない。これは、主張事実が「虚」であるためと思われる』と書きますので、そのおつもりで。」その途端、室の空気は凍りつき、傍聴していた司法修習生たちは、身を固くした。」
→ これは,意訳すると「こちらはあなたはウソをついているといっているのに聞いてることに何も答えない。答えないのはウソだからだと今後は書きますよ!」と言ったということですね。それは凍り付きます。民事訴訟で相手を嘘つきということに何の意味もないからです。大抵はどちらかが嘘つきで,どちらがウソをついているかがテーマですから。
7 嘘つきなので不当訴訟として損害賠償請求 最高裁判例になれば民事訴訟が浄化
→ これが最高裁判例になるはずがない・・・いやいやわかりませんが。でも,結局は負けた方が損害賠償責任を負うということになるだけで,浄化にはなりません。もしかしたら民事訴訟がなくなり,弁護士が浄化されるというか成仏するかもしれません。

というわけで色々面白く読ませて頂きました。
無事勝訴なされたことは素晴らしいと思います。
あ,不当訴訟の印紙代はちょっともったいなかったかな・・・。

Cマークってなんですか

2014.09.02 [ 齋藤 健太郎 ]

よく,ウェブサイトの最下部に
「Copyright © 2014 honyarara All rights reserved」
という記載をみますね。

なんとなく感覚的には,コレを記載してあることで,何かすごい権利が発生していて,法律的にも表示が求められているかのように感じます。

しかし,実はこれってほとんど意味ありません。
Cマークなんて呼ばれるものですが,これは日本国内の著作権については全くの無意味で,付けたところで保護されるとか逆につけないと保護されないということはありません。
日本の著作権は何も表示や登録をしなくても成立が認められるからです。

なんとなく格好いいからつけているというレベルを超えないというものです。
本当は,万国著作権条約というものがあって,それに加盟している国のうち,日本のように著作権が直ちに成立しないような国であっても,このマークをつけて表示していると保護されるよ・・・という意味があるのですが,それも実務的にはほとんど意味がないと思われます。

実は,ニュースで「ハイスコアガール」というスクウェア・エニックスというところで出している漫画が著作権違反で,刑事事件となり,捜索までされたという話を読んだのですが,その際に,「このCマークが末尾に表示されているから承諾を得ているとみんなが思った」なんて解説があったので,「?」と思ったわけです。
このマークは著作権を主張したい人が自分でつけるものに過ぎないので,誰かがこれをつけても許諾を取ったことの証明にはならないものです。全くの勘違いというか,大きな誤解としかいえませんが,業界の慣行というようなものがあったのかもしれません。
ちなみにその解説している人が,Cマークがつけられていると,侵害した人が著作権があることを知っているとみなされるので保護されやすいというようなことを書いていましたが,正直,そういう効果もないと思います・・・。

それにしても,公刊されている漫画が,著作権法違反で捜索・差押まで受けるというのは前代未聞ではないでしょうか。
たしかに,ゲームを論評するという形での作風であれば,「引用」として著作権法違反にならない可能性はあるのですが,それでも念のために許諾を取るというのがリスク管理としては当然に求められるところかと思います。
きわどい話であるという認識をもって,顧問弁護士と相談しながら進めていればこんなことにはならなかったのではないでしょうか。

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