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齋藤 健太郎弁護士ブログ

男と時計と車,女と靴とバッグ

2014.11.24 [ 齋藤 健太郎 ]

某弁護士がタグホイヤーとかいう高級時計を購入したとの噂を耳にしました。

なぜ男は,時計が好きなのでしょうか。
女の人も時計好きの方は多いかもしれませんが,やはり圧倒的に男の方が時計好きな気がします。
車についてもやはり男の方が好きですよね。
うちの下の男の子は何も教えていないのに,車と飛行機が大好きです。

一方,女の人は,靴とバッグが好きな人が多い気がします。アクセサリーもそうですね。
男でもスニーカー蒐集癖があったり,アクセサリーが好きというような方はいますが,その思い入れは少し方向性が違うように感じます。
うちの上の女の子は何も教えていないのに,リボンとハートが大好きです。

昔から,女性が買い物のときに発する「これ,かわいい〜」という表現が理解できずに困惑しています。
服・靴・バッグ自体は,所詮モノなので,それだけで可愛いわけはありません。ぬいぐるみとかペットであれば,それ自体が可愛いというのはわかるのですが・・・。
そう考えると,あの表現は,「この服を着ている自分を想像すると可愛いんじゃないかしら〜」ということなのでしょうか。
でも,その場合には,あんなに服を見て興奮するわけもないので,やはりぬいぐるみ説の方が有力でしょうか。

そんなこと言ったら車を見て「おー,かっこいい!」というのも一緒ですよ。でも,車の方が,一つの独立した商品として完結しているともいえます。この車に乗って走り回りたいという欲求はありますが,この車に乗っている自分が格好いいという想像をすることはないのではないでしょうか。

結論:男女は基本的にわかり合えない。理解しようとしても無駄。

懲戒解雇と解雇予告手当

2014.11.24 [ 齋藤 健太郎 ]

ご存じの方も多いとは思いますが,従業員を解雇するときには,30日前に予告する必要があり,もしも突然解雇する場合には,30日分以上の平均賃金を「解雇予告手当」として支払わなければなりません。
解雇予告手当がないと突然解雇されて給料もない状態に追い込まれてしまうので,労働者を保護するためのものです。

しかし,例外もあります。
日雇いの場合や,試用期間の場合などは不要とされていますし,天変地異や従業員に責任がある場合なども払わなくて良いとされています。

気をつけなければならないのは,従業員に責任がある場合であっても,事前に労働基準監督署の認定を受けていないと基本的にはダメだということです。
そのため,懲戒解雇になるような場合(犯罪行為があるような場合)であっても,認定を受けることなく解雇した場合には,解雇予告手当を支払うということになりかねません。

もっとも,裁判では,事前認定をしていなかった場合でも払わなくて良いのかどうかが争われて,労働者に責任がある場合には解雇予告手当を請求できないとされた例もあります。たしかに,事前認定を受けることが絶対の要件とすると,認定を受けるまでの間は給与を払わなければならないことになりますが,それが妥当ではない事案もあるでしょう。

逆に,この裁判例によれば,認定を受けたとしても,労働者の責めに帰すべき事由がないとされる場合もあり得ることになりますので安心はできませんね。

14級非該当→14級前提の裁判上の和解

2014.11.18 [ 齋藤 健太郎 ]

先日,自賠責において,14級の後遺障害が非該当とされた方の事件で,14級を前提として裁判での和解をしました。

14級というのはむち打ち(頚椎捻挫,腰椎捻挫)などで認められることの多い後遺障害で,等級としては最も低い等級となります。
しかし,実はこの14級というのがくせ者です。
というのも神経症状が主体となるので,痛みや痺れなどの自覚症状を証明していかなければならないのです。
そのために基準もはっきりせず,どういう場合に認定され,どういう場合に認定されないのかも必ずしも明確ではなく,難易度は低くないのです。

私の担当した件は,8年ほど前に交通事故に遭ったことで,14級の後遺障害認定を受けていたために,自賠責の方では前に後遺症があったのだから,認定しないとされてしまいました。
これは形式的に判断する自賠責としては致し方ないところもあるのですが,一方で,むち打ちの場合には,後遺障害が認められるといっても,たとえば5年を限度に5%稼げなくなるという形で,一定の期間しか認められません。
そのような場合にまで前に一度後遺症が残ったのだから,二度と後遺症とはならないのはおかしいことです。
片目を失明したような場合と,段々と支障が少なくなっていくむち打ちの場合とは違うのは当然のことでしょう。

そこで,8年前なのだから無関係であるとして訴訟を提起し,無事,14級を前提に和解したということになります。
このような事案では,自賠責で異議申立という手続を取るよりも,早期に訴訟提起した方が良いといえるでしょう。

株主と取締役

2014.11.18 [ 齋藤 健太郎 ]

本当に基本的なことなのですが,意外に理解されていないのが,会社の株主と取締役の関係です。

会社で一番偉いのは誰?と聞くと,おそらく社長と答える人が多いと思います。
でも,株主は会社の所有者です。一番偉いので,基本的に代表取締役である社長さんを解任することができます。株主の方が偉いのは当たり前のことです。

ただし,中小企業の場合には,オーナー社長といわれるように,社長が一人株主でもあることがほとんどです。
そのため,社長が一番偉いというのはそこまで間違いでもない場合が多いですね。
そのような会社の株主総会は正式にやろうとすると・・・全部一人芝居でやるということになります。

「では,開会します。議長は私がやりますね」
「本日の議題は取締役の選任ですね」
「決を採ります・・・はい全員賛成」
「閉会します」

ちなみに「社長」「専務」「常務」というのは法的には存在しない用語です。
法律上は,「取締役」「代表取締役」という地位があるだけです。
とはいえ,対外的には「社長」と言われている人が代表権を持っていて,会社経営の中心となるということになりますので,そういう意味では法的に無意味な用語ではありません。

私も,「所長」などと言われていますが,これもまああだ名のようなものです。

9:1の謎

2014.11.04 [ 齋藤 健太郎 ]

交差点などで車両同士の事故が起きた場合に,基本的に悪いのはどちらかというのがまず問題になりますが,その先に,もう一方の過失というものも問われます。いわゆる10ゼロの事案といえるかどうかです。

正確には,「過失相殺」といいます。

皆さんもご存じのとおり,双方が動いている事故だと,赤信号無視などの場合じゃなければ,全面的に片方が悪いということにはならず,もう一方にも過失が認められることが多々あります。

でも,私は9:1などの場合に果たして過失相殺を認めるべきだろうかという疑問をいつも持っています。
というのも,そのような事故は,片方に大きな過失があることが前提となっていて,その過失がなければ事故自体が生じなかったといえるからです。法定速度で普通に走行していた場合がほとんどですから,逆に,被害者側の「じゃあどうすれば避けられたのか?」という疑問にも答えられないはずです。実はこれは多くの人が抱いている感覚じゃないでしょうか。
非常に重い後遺症を負ったりした場合に,はっきりと落ち度といえるものは何もないにもかかわらず,もらえる損害が少なくなってしまうことになり,問題は大きくなります。

私の個人的な推測ではありますが,このような過失相殺が一般化したのは,保険会社同士の示談交渉が行われてきたことが大きく影響しているのではないでしょうか。常に逆の立場になりうる保険会社間の交渉では,事を納めるために一定の過失を認めるというのは十分に考えられます。

車を運転することがすでに過失なんだといわれれば仕方がないという気持ちになりますが,そこまで小さな過失を問うことにどれだけの意味があるのか再度考える必要なはないでしょうか?
少なくとも,それが交通事故の実務だから当然なんだという考えは正しいとは思えません。

ネット時代の想像力

2014.11.04 [ 齋藤 健太郎 ]

最近は,新聞を読むよりも,ネットでの情報の方が深く情報を得られたりすることもあります。もっと知りたいと思うと,意外と詳しい情報が得られたりすることもあり,情報収集には欠かせないツールです。
また,そもそも新聞だと出てこない情報もたくさんありますので,ネットなしに生活することはほぼ不可能です。

でも,最近思うのは,情報が多いということは,実は真実から遠ざかることもあるのではないかということです。
理由を適当に考えてみました。
一つ目は,情報といっても本当に真実のわずか一部を切り取っているに過ぎないということです。
いくら切れ端が増えたところで,全体像は見えません。

二つ目は,我々がネットで検索しているのは,興味・関心のある情報だけだということです。
逆に情報を与える方もそういう切り口で情報を提供しますので,実は多角的な視点では検討できていません。

三つ目は,デマが紛れ込むためにその情報の正確性が担保できないということです。結局は,あらゆる情報を信じられなくなり,価値は低下してしまいます。

では,ネット社会において,どうやって自分に必要な情報を得るべきなのか。
一を聞いて十を知るという言葉がありますが,少ない情報の中でもこの時代に何が起きているのかを理解していくためには,少ない固い情報から,事実を作り上げる力が必要なのではないでしょうか。
全てを知るというのは無理ですよね。
いくつかの重要かつ大きな視点をもって,想像力を働かせていくことの方がよほど真実に近づけるのではないか・・・そんなことを感じます。

弁護士の仕事も,調査によって証拠が沢山出てこないことも多々あります。
その場合に必要なのは,想像力を働かせて,いかに説得力のあるストーリーを裁判官に提示するかということです。
少ない事実であっても,それが全て一つの流れで説明できるときには,とても説得力のある話になります。
逆に一つ一つの証拠だけでは,ジグソーパズルのピースに過ぎませんが,足りないところを埋めていくと,全体の絵が見えてくる・・・たとえるとそんな感じでしょうか。
まさに弁護士の腕の見せ所ではないでしょうか。

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