2014.11.18 [ 齋藤 健太郎 ]

先日,自賠責において,14級の後遺障害が非該当とされた方の事件で,14級を前提として裁判での和解をしました。

14級というのはむち打ち(頚椎捻挫,腰椎捻挫)などで認められることの多い後遺障害で,等級としては最も低い等級となります。
しかし,実はこの14級というのがくせ者です。
というのも神経症状が主体となるので,痛みや痺れなどの自覚症状を証明していかなければならないのです。
そのために基準もはっきりせず,どういう場合に認定され,どういう場合に認定されないのかも必ずしも明確ではなく,難易度は低くないのです。

私の担当した件は,8年ほど前に交通事故に遭ったことで,14級の後遺障害認定を受けていたために,自賠責の方では前に後遺症があったのだから,認定しないとされてしまいました。
これは形式的に判断する自賠責としては致し方ないところもあるのですが,一方で,むち打ちの場合には,後遺障害が認められるといっても,たとえば5年を限度に5%稼げなくなるという形で,一定の期間しか認められません。
そのような場合にまで前に一度後遺症が残ったのだから,二度と後遺症とはならないのはおかしいことです。
片目を失明したような場合と,段々と支障が少なくなっていくむち打ちの場合とは違うのは当然のことでしょう。

そこで,8年前なのだから無関係であるとして訴訟を提起し,無事,14級を前提に和解したということになります。
このような事案では,自賠責で異議申立という手続を取るよりも,早期に訴訟提起した方が良いといえるでしょう。