2014.11.24 [ 齋藤 健太郎 ]

ご存じの方も多いとは思いますが,従業員を解雇するときには,30日前に予告する必要があり,もしも突然解雇する場合には,30日分以上の平均賃金を「解雇予告手当」として支払わなければなりません。
解雇予告手当がないと突然解雇されて給料もない状態に追い込まれてしまうので,労働者を保護するためのものです。

しかし,例外もあります。
日雇いの場合や,試用期間の場合などは不要とされていますし,天変地異や従業員に責任がある場合なども払わなくて良いとされています。

気をつけなければならないのは,従業員に責任がある場合であっても,事前に労働基準監督署の認定を受けていないと基本的にはダメだということです。
そのため,懲戒解雇になるような場合(犯罪行為があるような場合)であっても,認定を受けることなく解雇した場合には,解雇予告手当を支払うということになりかねません。

もっとも,裁判では,事前認定をしていなかった場合でも払わなくて良いのかどうかが争われて,労働者に責任がある場合には解雇予告手当を請求できないとされた例もあります。たしかに,事前認定を受けることが絶対の要件とすると,認定を受けるまでの間は給与を払わなければならないことになりますが,それが妥当ではない事案もあるでしょう。

逆に,この裁判例によれば,認定を受けたとしても,労働者の責めに帰すべき事由がないとされる場合もあり得ることになりますので安心はできませんね。