2015.02.21 [ 齋藤 健太郎 ]

覚せい剤の依存症になってしまった場合に,自分の意思だけでやめられると思っていますか?
そんな簡単じゃないことは今まで繰り返してきた人々を見ればよくわかると思います。

特に芸能人の方々が,覚せい剤をなかなかやめられないのはよく目にするところです。
最近でいえば,小向美奈子さんが覚せい剤で3回目の逮捕をされていました。
2回目は嫌疑不十分で不起訴となっていたようですが・・・。
また,田代まさしさんが最近出所してきたというニュースも見ました。この方もコカインを止められずに二度目の逮捕で実刑になったものと記憶しています。

弁護士として国選の刑事事件を担当していると,必ず覚せい剤事件をやります。
10回目などという人も結構いて,どうしたらこの人は再び覚せい剤に手を出さずに済むのだろうかと考えてしまいます。
皆さん,「もう止めます。絶対誓います」というのですが,前の裁判でも同じ事を言っているので,誰も信じません。
家族も最初は支えていくのですが,次第に呆れてしまい,諦めてしまいます。

でも,それでいいのか?という疑問を常に持っていました。
というのも,一度手を出してしまったのはその人の責任だとしても,止めたくても止められなくなったことまで全て責任を問えるのでしょうか。
精神障害の国際的な分類でも,覚せい剤依存や薬物依存は精神障害とされています。
この問題は,覚せい剤だけでなく,アルコールを含む薬物全般に言えることです。問題の本質という意味では,ギャンブル依存も全く同じでしょう。

では,どうすれば克服できるのでしょう?
昔から依存症克服のための自助組織というものがあります。
ダルクという組織があり,各地に住居などがあります。そこで仲間と一緒にミーティングをしながら生活をして,乗り越えていくというものです。
田代まさしさんもそこに通っているようです。
長期間継続することが大切だと思いますが,一定の効果がある方法とされています。

また,覚せい剤を含む依存症を克服するための治療として条件反射制御法というものがあります。
私も研修を受けたことがありますが,非常に有用な方法ではないかと感じました。
ASKAさんもこの条件反射制御法による治療を受けているという報道がありました。

中にはいまだに根性論を強く訴える人達がいるようですが,どうでしょうか・・・?
まずは,覚せい剤依存というものに対して,刑事処罰を中心に考えるのではなくて,リハビリ施設や治療を行うことをメインに据えるべきだと思います。刑務所に入れることが抑止力にならないことは明らかです。
被害者がいる犯罪とは違うのですから,本人のために,社会のために何が一番いいのかを真剣に考える時期に来ていると思います。