2015.05.26 [ 齋藤 健太郎 ]

交通事故によりむち打ちの被害に遭った方のうち,長い間痛みに悩まされる方がいらっしゃいます。
特に,その痛みが取れないということになると,基本的には後遺障害の認定申請を自賠責に行うことになりますが,認定を取れるかどうかという基準がいつもはっきりしません。
通院日数・期間や症状の程度・性質,医師の見解などを総合して判断することになると思われますが,一度これを数値化してデータベース化してみたらどうなるでしょうか。
それを突き詰めていくと,いわば後遺障害判定機のようなものに判断を委ねることすら考えられます。

しかし,その判定基準を単純にしてしまうと,たとえば通院日数が何日以上だと後遺障害になる・・・というように最初から認定を狙う手法も出てきかねませんし,そもそもそこまでシンプルには判定できないと思われます。逆に,その判定を複雑なものにすれば,結局,結果の読めないものとなりますので,少なくとも予測可能性を担保することはできないでしょう。

むち打ちというのは,自覚症状という魔物を扱うため,常に問題を難しくします。
実際には自覚症状とはいっても,組織の挫滅や損傷,それに伴う交感神経への影響など,必ず医学的な理由が存在しているのですが,客観的に判断することが容易ではありません。今後,新たな画像診断等により,何らかの方法でむち打ちの判定を客観的にすることができれば,多くの争いは解決してきます。
そして弁護士の仕事が減ることになるでしょう・・・。