2015.08.03 [ 齋藤 健太郎 ]

我々弁護士の仕事は「信用」で成りたっているといっても過言ではありません。
信用して頂けるからこそ,様々なことを代理して行えますし,スムーズに事が運びます。
逆に信用が低下すればするほど,仕事として成りたたなくなってしまいます。
お金を預けてもらうこともできず,代わりに手続することもできません。

ところが,最近は弁護士の不祥事が毎日のように報道されています。
全くもってあり得ないような横領事件などを耳にして耐えがたい気持ちになります。

最近のニュースで,東京家裁で,弁護士の横領などへの対策のために,成年後見人に弁護士が選ばれた場合でも,「成年後見監督人」というものを付ける運用を始めることを知りました。
つまり,弁護士を弁護士が監督するというシステムにしていくようです。

成年後見人に弁護士がつく場合には,それだけでも報酬が生じるのに,さらに成年後見監督人の弁護士の報酬が発生することになります。
また,弁護士の業務も自由度が下がり,成年後見監督人の顔色をうかがうことになるかもしれません。
成年後見人は,本人の意思を十分に尊重することが求められていますが,果たして監督人による監督が,それを阻害しないかどうか心配になります。
すでに,親族が後見人になる場合には,「後見制度支援信託」という制度が積極的に進められており,簡単にお金を下ろしたりできなくすることで,横領を防いでいます。裁判所がしっかり監督しなかったと評価されるのを避けるという目的も垣間見えます。

次は,後見監督人と後見人がグルになって横領をする事件が起きないことを祈ります。そのときの対策はどうするのでしょう。後見監督人を二人つけるとかでしょうか・・・。