2015.10.27 [ 齋藤 健太郎 ]

たまに親の土地に子どもが建物を建てるということがありますね。
親の余っている土地の上に建てることもありますし,二世帯住宅を建てるなんてこともあるでしょう。
良くあることですので,何の違和感もないかもしれません。

いうまでもありませんが,家を建てるときには,「人の土地の上に自分の建物を建てる権利(建て続ける権利)」というものがしっかりないといけません。
それがなければ,お金をかけて建物を建てても取り壊さなければならなくなります。

親子の場合には,タダで土地を貸すということも当たり前のようにありますし,基本的に建物を建ててしまえば,簡単に追い出すということもできないでしょう。
しかし,ここで気をつけなければならないことがあります。
毎月お金を払って土地を借りる「賃貸借契約」と,タダで使わせてもらう「使用貸借契約」(しようたいしゃくけいやく)とは,全く保護される度合いが違うということです。

たとえば親の土地が競売にかけられて誰か知らない人が競り落としたとしましょう。
そのときに,タダで借りるという「使用貸借契約」しかない場合には,なんと建物を壊して明け渡さなければならなくなります。
当然,交渉が成立すれば家賃を支払って借り続けるということも考えられますが,新たな土地の所有者が嫌だといえばそれまでです。
一方で,「賃貸借契約」であれば(対抗できる場合に限られますが),競売がなされても賃借権を主張することができるため,建物を壊して明け渡す必要はありません。
全くそのようなことを考えないで建物を建ててしまうと,後から大変なことになる可能性があるので注意しましょう。

タダほどこわいものはありません。