トップページ > 弁護士BLOG > 齋藤 健太郎弁護士 > 齋藤 健太郎: 2015年12月

齋藤 健太郎弁護士ブログ

総員玉砕せよ!

2015.12.29 [ 齋藤 健太郎 ]

軍事評論家の齋藤弁護士は,水木しげる先生の「総員玉砕せよ!」という漫画を購入して,深夜に読了いたしました。

90%実話という本漫画は,実話ではあってはならない壮絶なストーリーです。

本土で亡くなった方々。沖縄戦,広島・長崎,東京大空襲。民間人の死という意味では,非常に残酷で,無残な死に方であったということがいえますが,果たして戦争で死んでいった兵士達はどうだったのでしょうか。

多くの兵士は餓死で亡くなったという統計もあるようですが,この漫画の中でも,兵士達は常にお腹を空かせています。
そして,性的な欲求も根源的なものとして描かれています。

彼らは,若い指揮官の死に場所が欲しいという願いによって,玉砕を余儀なくされます。
同じ島の後方のバイエンでは多数の兵士が控えているのに,ラバウル支局というところでは,わずか500人で玉砕しなければならないという。
人は自分の命を納得しないまま差し出すことができるのでしょうか。
そのような状況下で,玉砕しようとしますが,実際には多数の人間が生き残ってしまいます。

士官2名は,自決することとなりました。
生き残ったために・・・。

さすが水木先生でした。
多少,人間の顔がどれも同じに見えるという弱点はありましたが,良い漫画でした。

電話接見を認めよ!

2015.12.22 [ 齋藤 健太郎 ]

先日,被疑者の接見に行こうと思っていましたが,忙しくて思うように行くことができませんでした。
結局,行くのが遅くなり,時間もないために,地下鉄→タクシー警察署→タクシー地下鉄という流れで行って帰ってきました。
その時間,1時間ちょっとでした。

実際には,さほど伝えることはなく,あえて会わなければならない用事でもありませんでした。
にもかかわらずわざわざ行かねばならないというのは非常におかしいことです。
実は,警察署に電話をしても,被疑者とは電話を絶対につないでもらえません。そこで仕方なく,行って話をするほかないのです。

よくアメリカのドラマなどでは,被疑者が弁護士に電話をするシーンなどがありますし,取り調べにも弁護士が立ち会うこともあります。しかし,日本では,電話もできませんし,取り調べに立ち会うこともできません。正確には,一部の拘置所等では電話接見が可能ですが,事前に予約をしたり,他の場所にいかねばならず実用的とはいえません。日本の刑事システムは,いかに追い込んで自白を取るかということを考えているとしか思えないものです。

弁護士が接見する場合には,普通の面会とは異なり,警察職員の立ち会いはされませんので,自由に会話ができます。
そうであれば,電話で話すことにも何の問題もないのではないでしょうか。
一方で,すぐに電話で相談できないということが被疑者を追い込むことになりかねませんし,弁護人もわざわざ行かねば簡単なことを伝えられず,弁護にも支障が出ます。

最近は,取り調べの可視化などといって,取り調べ状況が録音されたりすることもあります。
また,徐々に自白が大切だという流れも変わりつつあるように思います。
しかし,私としては,まず第一歩として電話による接見を実現し,そして,その後は弁護人による取り調べの立ち会いを実現すべきだと思います。そのような基本的なことも許さない刑事システムは異常というほかありません。

水木さんと野坂さん

2015.12.22 [ 齋藤 健太郎 ]

水木シゲルさんが最近亡くなりました。素晴らしい漫画家でした。
野坂昭如さんも最近亡くなりました。素晴らしい作家した。火垂るの墓で有名な人ですが,私にはテレビタックルの印象が強いかな・・・。

お二人とも戦争経験者で、戦争の悲惨さ愚かさを訴えておられました。
とどれくらいの戦争経験者が生き残っているのかわかりませんが、そのうち誰もいなくなることは確実です。

そういえばあのNHKの「影像の世紀」の新しいシリーズが始まったようですね。
影像は人間の記憶と違って朽ち果てることがないのが良いところです。

たしかに影像も素晴らしいですが,やはり絵や文章というものは,より強く人に訴えるものがあります。
せめて彼らの作品が残り,語り継がれることを祈ります。

運命の人

2015.12.07 [ 齋藤 健太郎 ]

先日,テレビで運命の赤い糸の話が出たところ,妻が,「運命の赤い糸ってあると思うわ〜」と言っていたので,おお,なんだか珍しく良いこというなあと思いましたが,よく考えれば,結ばれているのが誰かなんて話しは全くしていませんでした。
いまだに誰か運命の人と結ばれる夢でも見ている可能性もあります。
実際にその直後にも,ミュージックステーションを観ながら,ジャスティン・ビーバーが可愛いと大興奮していました。

それはどうでもいいのですが,先日,山崎豊子の「運命の人」という小説を読み始めました。
「白い巨塔」「大地の子」「沈まぬ太陽」などの作者です。
それまではテレビドラマで知っている程度だったのですが,NHKスペシャルで山崎豊子について特集していたのを観てからすっかりファンになってしまいました。
取材にかける時間・労力もすごいですし,「戦後」という時代への鋭い指摘も共感できるものがありました。

「運命の人」の題材となっているのは,「西山記者事件」という事件です。
実は,法律を学んだ人であれば,誰もが聞いたことがある事件ですが,山崎豊子の描くような視点で背景を考えたことは一度もありませんでした。

本来は,記者が,国家間の密約を暴くという話なのですが,証拠の取扱がよくありませんでした。機密を示す証拠を,当時の若手議員であった横路孝弘議員らに渡したところ,内容をそのまま明らかにしてしまい,その出所を追及されてしまいます。

慎重に扱えば全く問題がなかったのですが,そこから記者の人生は180度変わってしまいます。国民を欺した密約を明らかにしたことで賞賛されるはずの人間が,不倫の当事者,そして犯罪者として扱われてしまうのです。国家公務員法違反(秘密漏示)の教唆(そそのかし)という形で・・・。国民も裁判所も密約の存在という重大な問題を明らかにしたことの価値を全く理解しませんでした。
世間の目を背けるために作られた犯罪にすっかり乗ってしまったといえるのではないでしょうか。

密約は,その後,米の公文書の開示によって存在が証明されました。

さて,秘密保護法って覚えていますか?
国家に都合の悪い事実を明らかにした人であっても守られる世の中になっていますか?
私は,妻の運命の人にはなりたいですが,国家に翻弄される運命は嫌です。

心の疲れと回復について

2015.12.07 [ 齋藤 健太郎 ]

こういう仕事をしていると,どうしても心が疲れる瞬間があります。
依頼者の方からみれば,「疲れている場合か!死ぬ気でやれ!」という感じかもしれませんが,そりゃあ疲れるときもあります。

でも,疲れを感じる気持ちになることが,人間的な感情や,自然な感覚を保つために必要ですし,弁護士として良い仕事をするためにも必要なことだと思います。

実は,無理をすれば,走り続けることができるかもしれません。
しかし,疲れを感じなくなったら危険です。
良いアイデアや,高い集中力は,ただやり続けていれば生まれるというものでもありません。
ふとしたときに良い発想が生まれることがありますが,仕事をしているときではなく,何気なく他のことをしているときに思いつくこともよくあります。

また,弁護士という仕事は,色々なことに興味関心がないといけません。冬囲いにも関心がなければいけません。
そのようなフレッシュな気持ちがあって初めて事実をより良く知ろうという気持ちも生まれてきます。
小説を読んだり,映画・ドラマを観ることで,豊かな気持ちを取り戻すこともできます。
一昨日,ゲゲゲの女房の総集編の再放送を観たのですが,なんだか感動して何度か涙を流してしまいました。
まあ,私は少し病んでいるのかもしれません。

病んでいるといえば,北海道マラソン以降,脚の付け根の痛みが取れず,3ヶ月以上走っていません。
走りたくて仕方ないのですが,やはりここで無理をしても危険なのでまだ控えています。
徐々に体重も増加し,ストレス解消もできず,困っています。
こちらの疲れは予想外になかなか回復しないようです・・・。

 | 1 | 

ページ上部へ